米Jennerex社とフランスTransgene社は2011年4月5日、組み換え腫瘍溶解性ウイルス製剤JX-594のフェーズ1試験とフェーズ2試験で得られた結果が、ドイツで開催された第46回欧州肝臓研究学会(EASL)で口頭発表されたことを明らかにした。

 JX-594(TG6006とも呼ばれている)は、ワクシニアウイルスのチミジンリン酸化酵素遺伝子欠失株に顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子を挿入した組み換えウイルス製剤で、癌細胞でのみ増殖し細胞を溶解させるとともに、GM-CSFが免疫反応を刺激するよう設計されている。このウイルスは、複製による癌細胞の溶解、血管破壊による腫瘍への血液供給の遮断、身体の癌細胞に対する免疫反応の誘導という3つの作用を持つ。溶解した癌細胞から放出されたJX-594は、体内の局所および遠隔部位に残存する癌細胞に感染し、体内の癌細胞を根絶させると考えられている。

 これまで複数の癌を対象に行われたフェーズ1とフェーズ2試験で、腫瘍に直接注入または全身性に投与した場合に、JX-594が肝臓、大腸、腎臓、肺の癌や、メラノーマなどに壊死を誘導する効果を持つことと、忍容性は高いことが示されている。

 今回報告されたのは、原発性の肝臓癌(肝細胞癌)と他所の癌(大腸癌、メラノーマ、腎臓癌)の肝転移がある患者35人のデータだ。JX-594を腫瘍内投与し忍容性と抗腫瘍活性を調べた研究で、23人(66%)に腫瘍の壊死が認められた。これらの患者には、修正Choi基準に基づくCTによる腫瘍密度の有意な低下も見られた。腫瘍密度の低下は、JX-594の注入が行われていない腫瘍でも見られた。さらに7人(20%)については、RECIST基準を用いた評価でも客観的な腫瘍の縮小が確認された。うち2人は完全奏効と判断され、その状態が長期にわたって持続した。病態安定と判定された患者も12人(57%)存在した。

 最も多く見られた有害事象はインフルエンザ様症状で、この治療の安全性も示されている。

 現在、進行肝臓癌患者を対象に2件の無作為化フェーズ2試験が進行中だ。1件は2通りの用量のJX-594の生存利益を比較する試験、もう1件はソラフェニブとJX-594を併用する試験となっている。