プロスタサイクリン類似化合物であるイロプロストを投与すると、かつて喫煙していた人の気管支内異形成を改善できる可能性が明らかとなった。肺癌のリスクが高まっている患者を対象に行われたフェーズ2試験の結果示されたもの。成果は4月2日から6日に米国オーランドで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、International Association for the Study of Lung CancerのPaul Bunn氏によって発表された。

 研究グループは、年20パック超のレベルで現在も喫煙している人と、かつて喫煙していた人で少なくとも軽度の細胞異型が認められた人を対象にフェーズ2試験を行った。試験の前に気管支鏡検査で6カ所の気管支内と、異常が見られる他のすべての部位のバイオプシーを行った。6カ月間イロプロスト50μgを経口で1日2回(150μgまで増量)、またはプラセボを投与し、2回目の気管支鏡検査で同様にバイオプシーを行った。

 試験結果は、各バイオプシーで最も気管支組織学的スコアが悪かった値(MAX)、バイオプシーの気管支組織学的スコアの平均(AVG)、異型性インデックス(DI、少なくとも4以上の細胞異型性となったバイプシーの割合)を評価した。

 イロプロスト群には75人(喫煙中40人、過去喫煙35人)、プラセボ群には77人(喫煙中41人、過去喫煙36人)が登録された。2回の検査を受けることができ、すべてのバイオプシーサンプルが異常なしだった人を除く、イロプロスト群55人(喫煙中31人、過去喫煙21人)、プラセボ群55人(喫煙中36人、過去喫煙19人)を対象に評価を行った。

 ベースラインの組織学的な評価は、現在も喫煙する群(67人)のAVGが3.1、MAXが4.7、DIが46%だったのに対して、過去喫煙群(40人)はAVGが2.6、MAXが4.4、DIが31%と、過去喫煙群の方が状態が良かった。

 試験の結果、現在も喫煙する群ではイロプロストの効果は見られなかったが、過去喫煙者でイロプロストの投与を受けた21人では、投与前のAVG 3.3が投与後には2.1に、投与前のMAX 4.6が3.1に、投与前のDI 43.0%が19.6%と改善していた。現在喫煙者でイロプロスト投与群(31人)のMAXは改善10人、安定13人、悪化が8人で、プラセボ群(36人)のMAXは改善9人、安定が18人、悪化が9人と差がなかった。一方、過去喫煙者でイロプロスト投与群(21人)のMAXは改善14人、安定5人、悪化が2人、プラセボ群(19人)のMAXは改善4人、安定が8人、悪化が7人で改善効果が認められた。

 イロプロスト群で多く見られた副作用は頭痛、顔面紅潮、吐き気、疼痛、筋肉痛などだった。

[訂正]2012.1.12に以下の訂正をしました。
・薬剤名がイロプラストとなっていた部分をイロプロストに修正しました。