肺扁平上皮癌の新しい分子標的として、DDR2(discoidin domain receptor2)リン酸化酵素の遺伝子変異の可能性が明らかとなった。4月2日から6日にオーランドで開催されている米国癌研究会議(AACR)のプレスカンファレンスで、米Dana Farber Cancer InstituteのMatthew Meyerson氏が発表した。また、DDR2変異を持つ患者にはマルチキナーゼ阻害剤のダサチニブが有効である可能性が示唆された。成果はAACR開催中にAACRによって創刊されたCancer Discovery誌に掲載された。

 Meyerson氏は、肺扁平上皮癌の分子標的を探索するためにリン酸化酵素の遺伝子解析を行った結果、肺扁平上皮癌と細胞株の3.8%にDDR2遺伝子変異が存在することを見出した。2種類の肺扁平上皮癌細胞株でDDR2変異があり、DDR2に対するRNA干渉の実験から生存にはDDR2が必要だった。低分子リン酸化酵素阻害剤のパネルで調べた結果、これらの細胞株の増殖阻害に最も効果を発揮する可能性があるのがダサチニブで、ダサチニブの投与によって細胞株は死滅した。DDR2遺伝子変異を有する細胞株を移植した動物モデルはダサチニブに感受性を示した。DDR2変異を発現すると、細胞のトランスフォーメーションが起こるが、ダサチニブによって阻害された。

 また、肺扁平上皮癌患者で、ダサチニブとエルロチニブの投与で部分奏効が得られた患者の1人について遺伝子配列を調べたところ、EGFRには変異がなく、DDR2に遺伝子変異があり、DDR2キナーゼが活性化されており、それがダサチニブにより抑制されたと推定された。