スイスHoffmann-La Roche社と米Genentech社は、2011年3月21日、進行した基底細胞癌の患者にヘッジホッグ信号伝達経路を阻害する経口薬vismodegib(開発名はRG3616またはGDC-0449)を投与した枢要なフェーズ2試験で、全奏効率に設定された主要エンドポイントが達成されたことを明らかにした。

 ヘッジホッグ信号伝達経路を構成するヘッジホッグ蛋白は、発生過程の細胞増殖と分化における重要な制御因子だ。この経路は、細胞表面にある受容体のPatchedホモログ1(PTCH1)とsmoothenedホモログ(SMO)を介して情報を伝達している。成人の細胞では通常、この経路は不活性化されているが、多くの基底細胞癌においてPTCH1遺伝子とSMO遺伝子に変異が存在し、この経路が活性化されていることが明らかになっている。

 Genentech社が発見したvismodegibは、SMOに対する低分子阻害剤で、ヘッジホッグ経路を選択的に阻害する。同社は、次世代の癌治療用低分子薬の開発に取り組む米Curis社と共にこの製品の前臨床開発を行い、Roche社と共同で臨床開発を進行中だ。商品化の権利は、Roche社、Genentech社と中外製薬が保有する。

 フェーズ2は国際的な多施設試験で、オープンラベルで行われた。外科的切除が適応でない、または手術を行うと外見が大きく損なわれる可能性のある部位に病変を有する、転移性または局所進行型の基底細胞癌患者104人を登録し、150mgのvismodegibを1日1回、進行が見られるまで投与した。

 主要エンドポイントは全奏効率に設定、2次エンドポイントは奏効期間、無増悪生存期間、安全性などに設定されていた。

 有害事象は、これまでの臨床試験で見られたものとほぼ同様で、筋痙攣、脱毛、味覚異常、体重減少、疲労、悪心、食欲減退、下痢などが多く見られた。重症有害事象も一部に認められ、死亡した患者もいたが、現時点では治療に関連するものではないと考えられている。現在、安全性に関する詳細な分析が進められている。今回のフェーズ2のデータは、近く学会発表される予定だ。

 Roche社とGenentech社は現在、手術可能な基底細胞癌患者にvismodegibを適用するフェーズ2試験も進めており、2011年のうちにいずれかの適応症について市販許可を提出したいと考えている。