米国臨床腫瘍学会ASCO)は2月22日、転移性乳癌で骨転移がある患者の骨関連事象(SRE)の予防と治療について、破骨細胞抑制剤など骨の修飾作用を有する薬剤(Bone-Modifying Agents:BMA)の使用に関する臨床診療ガイドラインの最新版、American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline Update on the Role of Bone-Modifying Agents in Metastatic Breast CancerをJournal of Clinical Oncologyのオンライン版で発表した。

 乳癌に対するビスホスフォネート製剤について、ASCOが最初に臨床診療ガイドラインを発表したのは2000年。2003年には改訂版が発表された。その後、乳癌の補助療法としてのBMAに関する研究や、治療に関連するSREの管理に関する研究の成果が多く発表されたことを受け、最新版ではBMAの使用が主題とされた。

 この最新版では骨転移が確認された乳癌患者に対し、米食品医品局(FDA)が承認した3つの破骨細胞抑制剤、すなわち、denosumab、パミドロネート、ゾレドロン酸が推奨されている。いずれかの薬剤が有効性で大きく上回るとの十分なエビデンスはない。

 パミドロネートとゾレドロン酸はビスホスフォネート製剤、denosumabは完全ヒトモノクローナル抗体製剤である。denosumabはRANKL(NFκB活性化受容体リガンド)に結合し、破骨細胞による骨破壊を抑制する。

 同ガイドラインでは、これらのBMAの使用に関する顎骨壊死について、新たな推奨を行っている。推奨によると、顎骨壊死の発症は稀ではあるが重篤となる可能性があり、破骨細胞の機能を阻害する治療を受ける患者は、治療開始前に歯科の検診を受け、予防的な歯科治療を受ける必要がある。治療中は口腔内の清潔を保ち、可能であれば、顎骨や骨膜の処置などの侵襲的な歯科治療を受けないことが望ましい。

 BMAの使用は、骨シンチグラフィで異常を認めても、X線、CT、MRIで骨破壊のエビデンスがない場合、臨床試験以外では推奨されない。また骨外性の転移を認めた場合でも、骨転移のエビデンスがない場合はBMAの使用は推奨されない。

 ガイドラインでは、BMAに関する今後の研究課題も示されている。最適な治療期間や治療の間隔の定義、骨転移はないが骨外性の転移を認める患者やステージIVの乳癌患者に対する効果の検討、治療法を選択し有効性を観察するためのバイオマーカーの同定、サプリメントとしてのカルシウムとビタミンDの至適投与量の検討などである。

 同ガイドラインはこのサイトで閲覧できる。