mTOR阻害剤エベロリムスは、日本人の進行膵内分泌腫瘍pNET)に高い効果を有することが明らかとなった。日本も参加したフェーズ3試験RADIANT-3 (RAD001 In Advanced Neuroendocrine Tumors)のサブグループ解析の結果、示されたもの。RADIANT-3試験では日本を含むアジア地域で欧米よりも良い結果が示されたが、日本人のみを取り出したサブグループ解析でもアジア地域で得られた結果と同様の結果が得られた。成果は1月20日から22日に米国サンフランシスコで開催された2011Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI)で、九州大学病院肝臓・膵臓・胆道内科診療准教授の伊藤鉄英氏によって発表された。

 日本人のpNET患者は、年に2850人ほど発症するという。

 RADIANT-3試験は、低グレードまたは中間グレードの進行pNET患者を、エベロリムス毎日10mg投与と支持療法を受ける群(207人)、プラセボ投与と支持療法を受ける群(203人)とに分けて行われた。このうちアジア人が69人で、日本人は40人(エベロリムス群23人、プラセボ群17人)だった。

 試験の結果、全体では無増悪生存期間(PFS)中央値はエベロリムス群で11.0カ月、プラセボ群で4.6カ月で、ハザード比は0.35(95%信頼区間:0.27-0.45)、p<0.001だった。これに対し日本人だけをみると、PFS中央値はエベロリムス群で19.45カ月、プラセボ群で2.83カ月で、ハザード比は0.19(95%信頼区間:0.08-0.48)、p<0.001だった。

 効果が日本人で良い理由について、海外では日本で認められていない薬剤による前治療を行っているため試験からドロップアウトしてしまう可能性と、人種差による可能性の、2つが考えられるという。

 日本人でのサブ解析で多く見られたグレード3/4の治療関連副作用は、好中球減少症(17.4%)、貧血(8.7%)、肺炎(8.7%)、白血球減少症(8.7%)だった。日本人で新たに見出された安全性上の問題はなかった。