国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部の津金昌一郎氏らは、多目的コホート(JPHC)研究で得られたデータを基に、40歳から69歳までの個々の男性が今後10年間に大腸癌を発症する確率を推定する予測モデルを開発した。開発過程とモデルの精度についてはCancer Epidemiology誌2010年10月号に報告された。

 研究者たちはJPHCの前向き研究のコホート2に登録された茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、大阪府吹田、沖縄県宮古在住の2万8115人の男性を1993年から2005年まで追跡して、大腸癌の危険因子を同定、リスク予測モデルを作製した。次にJPHCコホート1に登録された別の地域に住む男性1万8256人を1995年から2005年まで追跡して得られたデータを用いて、モデルの精度を評価した。追跡期間中の大腸癌発症はコホート2が543人、コホート1は398人だった。

 完成した予測モデルは、年齢(5歳刻みで7群に層別化)、肥満度(BMIが25未満かそれ以上か)、身体活動量(メッツ・時/日に基づいて3群に層別化)、飲酒量(飲酒頻度と摂取エタノール量に基づいて4群に層別化)、喫煙(非喫煙者、過去の喫煙者、現在も喫煙者のいずれか)の5項目からなる。提示されているスコアシートに基づいて得られたそれぞれのスコアを合計し、発症確率(%)表に照らし合わせれば、自分の10年リスクを知ることができる。

 たとえば、50歳で5項目のすべてが最高点(高リスク)の男性が10年以内に大腸癌になる確率は3.3%、すべてが最低点(低リスク)の男性では0.7%となる。大腸癌のリスクは年齢とともに上昇するため、年齢が最も高い65-69歳の男性ですべてが最高点であれば10年間の確率は7.4%(このグループのリスクが最高)、年齢が最も若い40-44歳ですべてが最低点なら0.2%(このグループのリスクが最低) になる。

 このモデルを利用すれば、飲酒や喫煙をどの程度控えれば、また、どれくらい減量した場合に、リスクが何パーセント減るかもおおまかに知ることができる。大腸癌10年リスク予測モデルは、本人による生活改善、または、かかりつけの医師による生活改善指導に役立ち、日本人男性の大腸癌予防に役割を果たすと期待される。

 なお、研究者たちは、モデルに組み込まれた5つの要因以外にも大腸癌の発生に関係する因子は数多く存在することに注意する必要があると言う。また、女性については男性のように大腸癌危険因子が明瞭ではないため、現在のところ予測モデルは構築できないと説明している。

 10年間の大腸癌発生リスク予測モデルは、こちらから利用できる。