オランダErasmus大学などの研究者たちは、BRCA1またはBRCA2遺伝子に変異を有する、または、乳癌の家族歴を持つために遺伝性乳癌リスクが高いと見なされる女性を対象に長期にわたる大規模前向き研究を行い、一部の女性においては、乳癌の早期発見における精度はマンモグラフィーよりもMRI検査の方が高いことを示す結果を得た。詳細はClinical Oncology誌に11月15日に報告された。

 研究者たちは、遺伝性乳癌を発症する生涯にわたる累積リスクが15%超と推定された女性を2157人登録し、半年ごとの視触診と、年1回のマンモグラフィーおよびMRI検査を実施しながら中央値4.9年追跡した。

 登録者は乳癌発症累積リスクに基づいて以下の3群に分けられた。BRCA遺伝子に変異が存在し乳癌発症累積リスクが50-85%のグループ、既知の変異は持たないが乳癌の家族歴があり乳癌発症累積リスクが30-50%のグループ、変異はないが家族歴があり乳癌発症累積リスクが15-30%のグループ。

 MRIの乳癌診断感度は、浸潤性乳癌の検出においてマンモグラフィーより優れていた(77.4%と35.5%、p<0.00005)。非浸潤性乳管癌の検出感度には差は無かった。

 マンモグラフィーの感度は、BRCA1変異を有する女性の癌よりもBRCA2変異を持つ女性の癌の検出において高かった。BRCA1検出感度は25.0%、BRCA2検出感度は61.5%。

 BRCA1変異陽性者では、マンモに比べMRIの乳癌検出感度が高かった(66.7%)。BRCA2変異陽性者ではMRIの癌検出感度は69.2%だった。

 対象となった女性の追跡期間中の死亡率は低く、BRCA変異陽性グループの4人が死亡したたけで、変異陰性群の女性には死亡も遠隔転移も見られなかった。診断から6年間の追跡で、BRCA変異陽性で浸潤性乳癌と診断された女性の全生存率は93%だった。この数値は、過去に行われた、BRCA変異陽性女性にマンモグラフィーを用いたスクリーニングを実施しながら、またはスクリーニング無しで中央値5年間追跡した26件の研究で得られた結果(プール解析した全生存率は74%)に比べ高かった。

 現在、乳癌のスクリーニングに利用可能な検査法は、視触診、超音波検査、マンモグラフィー、MRIの4つだ。既存のスクリーニング・ガイドラインの多くはBRCA変異陽性者にはMRIの適用を推奨しているが、変異陰性だが家族歴がある女性に最適な検査法は明らかではなかった。

 今回の前向き研究で得られた結果は、遺伝性乳癌リスクを抱えた女性に対するMRIを用いた積極的な観察の安全性と有効性を示した。著者らは、特にBRCA変異陽性女性においては、MRI検査は予防的切除の代替として有用ではないかと述べ、BRCA1陽性者には半年に1回のMRI検査実施を推奨している。