スイスNovartis社は10月30日、米食品医薬品局(FDA)が、結節性硬化症(TS)に関連する脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫(SEGA)の患者で、治癒切除は適応にならないが介入が必要と判断された人々に、経口mTOR阻害剤エベロリムスを適用することを承認したと発表した。

 SEGAは、TS患者の約20%に見られる良性の脳腫瘍で、患者の多くは小児と青年だ。TSはさまざまな臓器に腫瘍が発生する遺伝性の疾患で、米国の患者数は約2万5000人から4万人と推定されている。良性に分類されているが、脳に腫瘍ができた場合には脳の腫脹や水頭症などを生じる危険性がある。これまで、増殖が見られるSEGA患者の選択肢は、外科的切除以外になかった。

 今回FDAは、この製品に優先審査を適用した。迅速承認は、オープンラベルのシングルアーム・フェーズ3試験の結果に基づくものだ。

 SEGAの増殖が確認された3歳以上の患者28人(年齢の中央値は11歳)を登録した試験は、Cincinnati小児病院医療センターで行われた。患者にはエベロリムス3mg/平方メートル/日が経口投与された。主要エンドポイントは、6カ月後のSEGAの容積の変化に設定された。

 割り付けから6カ月時点の評価で、ベースラインで最も大きかった腫瘍の容積が半分以下になった患者が32%、容積が30%以上縮小した患者は75%という結果が得られた。新たな脳腫瘍の発生は見られなかった。

 最も多く見られた有害事象は、口内痛、上気道感染、副鼻腔炎、中耳炎、発熱だった。

 現在も、エベロリムスと偽薬の影響を比較するフェーズ3試験が世界10カ国(豪州、ベルギー、カナダ、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、英国、米国)で進行中だ。EXIST-1と名付けられたこの試験では、腫瘍の縮小とともに、痙攣発作と皮膚病変に対する影響も評価される。

 同社は、SEGAを対象とする承認申請を欧州とスイスでも提出済みだ。欧州で承認された場合には、商品名は「Votubia」になる予定だ。また、他国においても同様に申請を予定している。