KRAS遺伝子変異陽性の転移性大腸癌に対しては、抗EGFRモノクローナル抗体のセツキシマブやパニツムマブは有効性がないと考えられている。しかし、化学療法難治性の大腸癌で、KRAS codon13(p.G13D)の変異があり、セツキシマブによる治療を受けた患者では、他のKRAS遺伝子変異陽性の患者と比べて全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が延長していることがわかった。成果はベルギーUniversity of LeuvenのWendy De Roock氏らによるもので、詳細はJAMA誌10月27日号に掲載された。

 Roock氏らは、他のKRAS遺伝子変異と比べて、p.G13Dの変異はセツキシマブによる治療後の良好な転帰と相関するとの仮設を立てた。in vitroおよびマウスの実験では、p.G13Dの変異がある大腸癌細胞は、KRAS野生型の細胞と同様にセツキシマブに感受性を示す結果が示されていた。

 この仮説を検証するため、2001〜2008年にセツキシマブによる治療を受けた、化学療法で難治性の大腸癌患者579人のデータセットが解析された。対象は、NCIC CTG CO.17試験、BOND試験、MABEL試験などに参加した患者や、試験以外で治療を受けた患者だった。主要な有効性転帰はOS、副次的な有効性転帰は奏効率とPFSとして、データのさまざまな解析を行った。

 その結果、セツキシマブ単剤療法またはセツキシマブと化学療法の併用療法を受けた患者のうち、p.G13Dの変異がある患者32人において、OSの中央値は7.6カ月(95%CI:5.7〜20.5)となり、その他のKRAS遺伝子変異がある患者の5.7カ月(95%CI:4.9〜6.8)と比べて有意に延長し、ハザード比(HR)は0.50(95%CI:0.31〜0.81、p=0.005)となった。

 またPFSの中央値は、p.G13Dの変異がある患者で4.0カ月(95%CI:1.9〜6.2)、その他のKRAS遺伝子変異がある患者で1.9カ月(95%CI:1.8〜2.8)となり、HRは0.51(95%CI:0.32〜0.81、p=0.004)だった。

 これらの結果から、KRAS遺伝子変異の状態とセツキシマブのOSに対する有用性は、有意に相関することが示された(調整後のHR=0.30、95%CI:0.14〜0.67、p=0.003)。

 Roock氏らは、今回示された効果は腫瘍の容積が実質的に減少したためではなく、腫瘍の進行を遅らせたためと考えられるとし、「このような癌に対するセツキシマブの有効性については、前向きの無作為化試験が必要」としている。