HLA-A2/A3拘束性のHER2/neu部分ペプチドからなるE75ワクチンと顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)との併用が、特定のグループのHER2発現乳癌の術後再発を抑制できる可能性が明らかとなった。フェーズ1/2試験の結果示されたもの。成果は10月1日から3日に米国National Harborで開催された2010Breast Cancer Symposium(ASCO Breast)で米Brooke Army Medical CenterのG.T.Clifton氏によって発表された。

 E75ワクチンは毎月1回、6カ月にわたって皮内に投与された。フェーズ1試験で用量増多試験を行い、至適用量を1mgと決定した。フェーズ1の患者はそのままフェーズ2試験に移行し、その一部の患者には6回の投与が終了した後に追加免疫を行った。そしてワクチン投与完了後、24カ月間フォローアップした。

 臨床試験は免疫組織染色でHER2蛋白質の発現(+1、+2、+3)が認められたリンパ節陽性、またはハイリスクリンパ節陰性の乳癌患者を対象とした。また、患者は免疫能があり標準的な手術、化学療法、放射線療法を受け、臨床的に乳癌がないと判定された患者だった。

 対象となった187人の患者のうち、HLA-A2/A3陽性の患者をワクチン投与群(108人)、HLA-A2/A3陰性の患者を対照群(79人)とした。ワクチン投与群のうちリンパ節陽性は53人、リンパ節陰性は55人だった。対照群のうちリンパ節陽性は44人、陰性は35人だった。

 主要評価項目は、24カ月時点での無病生存率(DFS)とした。評価可能だったワクチン群106人のDFSは0.943、対照群76人のDFSは0.868、p=0.08で、ワクチン群で高い傾向が認められた。ワクチン群のリンパ節陽性患者51人のDFSは0.902、対照群43人は0.791、p=0.13で、ワクチン群が高い傾向が見られた。HER2発現が+1と+2の患者で比較すると、ワクチン群34人のDFSは0.940、対照群50人のDFSは0.794、p=0.04で、この場合もワクチン群で高い傾向があった。至適投与量が投与できたワクチン群37人のDFSは0.973、対照群76人のDFSは0.868、p=0.08で、ワクチン群に高い傾向があった。さらに早期再発を除いた追加免疫を行ったワクチン群45人のDFSは1.000、対照群71人のDFSは0.943、p=0.10で、ワクチン群に高い傾向があった。

 この結果を受けて、フェーズ3試験は、HER2発現が低くリンパ節陽性の患者に、至適投与量で追加免疫も行う形で行われている。