BRCA1遺伝子変異、BRCA2遺伝子変異のある乳癌患者では、診断時の年齢が50歳以上であると、50歳未満よりも対側乳癌の発生リスクが低いことが明らかとなった。また卵巣摘出術を受けることや家族の罹病歴によって、対側乳癌の発生リスクは変動することが示された。BRCA1またはBRCA2遺伝子変異がある患者で、ステージ1または2の乳癌と65歳以下で診断された、他の癌に罹患した経験のない北米の患者で1975年以降に診断された患者を対象に行われた解析の結果、判明したもの。成果は10月1日から3日に米国National Harborで開催された2010Breast Cancer Symposium(ASCO Breast)でカナダUniversity of TorontoのK.A.Metcalfe氏らによって発表された。

 研究グループは、家系の解析、カルテの解析(腫瘍の特徴、受けた治療の詳細)、患者のフォローアップを行った。解析された患者の数は810人だった。30歳未満で乳癌と診断されたのは49人、30歳から40歳で診断されたのは308人、40歳から50歳で診断されたのは299人、50歳以上で診断されたのが154人だった。BRCA1に変異のある患者は498人、BRCA2に変異のある患者は300人、両方に変異のある患者は12人だった。

 解析の結果、対側乳房に癌が発生した患者は149人(18.4%)だった。発生までの時間の平均は5.7年だった。診断から対側乳癌発生までの累積リスクは、全患者で、診断から5年時点で13.1%、10年時点で22.0%、15年時点で33.8%だった。診断時の年齢が50歳で区切ると、50歳未満の患者では診断から5年時点で14.2%、10年時点で23.9%、15年時点で37.6%だったのに対し、診断時に50歳以上の患者では診断から5年時点で8.6%、10年時点で14.7%、15年時点で16.8%で、50歳以上の高齢で発病した患者は、若くして発病した患者よりも対側乳癌の発生リスクが低いことが示された。

 また、卵巣摘出を行った場合、50歳未満で診断されたでは対側乳癌の発生のリスクは0.45、p=0.002と有意に低下するのに対して、50歳以上で診断された患者では1.02、p=0.97と差はなかった。50歳未満で診断された患者の場合、両卵巣摘出を行っていない患者の診断から15年時点での対側乳癌の累積リスクは58%、一親等血縁者に50歳未満に発病した乳癌患者が2人以上いる患者の診断から15年時点での対側乳癌の累積リスクは68%だった。

 化学療法やタモキシフェンの投与の有無による差はなかった。