米M.D.アンダーソンがんセンターとMayo Clinicの研究者たちが、スイスNovartis社の骨髄線維症治療薬Janus kinase阻害剤JAK阻害剤INC424について、フェーズ1/2試験で得られた結果をNew England Journal of Medicine誌2010年9月16日号に報告した。それによると、INC424に顕著で永続的な臨床上の有用性が認められた。

 JAKの異常なシグナル伝達は、骨髄増殖性の腫瘍(骨髄線維症、真性多血症本態性血小板血症など)の発症に大きく関与している。これらの疾患は、治療が困難で予後不良の急性骨髄性白血病に進行する可能性がある。

 骨髄線維症はフィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性の腫瘍で、血球減少や脾腫、QOLの低下、体重減少、生存率の低下を特徴とする。骨髄線維症患者の約半数にJAK2遺伝子(JAK2 V617F)の機能獲得型変異が見られる。

 INC424はJAK1とJAK2を強力かつ選択的に阻害するよう開発された。米食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMEA)は、INC424を骨髄線維症に対する希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定している。

 今回報告されたフェーズ1/2試験は、非盲検、非無作為化の用量増加試験で、JAK2 V617F陽性または陰性の骨髄線維症患者153人を対象とした。INC424は15mgの1日2回の用量で開始し、至適用量を患者ごとに見付けることとした。

 データ解析時の治療期間の中央値は14.7カ月で、75%の患者が治療を継続していた。脾腫については、患者の約75%で脾臓が縮小し、効果は12カ月以上持続した。開始用量の15mgでは患者の48%に35%以上の腫瘍縮小を認め、さらに至適用量に増量した患者の52%で、50%以上の縮小を認めた。また治療開始から1カ月後には、体重減少、疲労感、寝汗、そう痒症など消耗性の症状についても、症状スコアの50%以上の改善が見られた。

 注目すべき点は、JAKの変異の有無に関わらずこのような改善が認められたことだ。研究者たちはその理由について、INC424が血液中の炎症性サイトカインを減少させたためと見ている。

 主な血液毒性は貧血と血小板減少で、血小板減少は用量制限毒性(DLT)だった。ヘモグロビン値は治療開始から3〜4サイクルの間に低下したが、治療を継続するにつれ、安定または改善した。重篤な有害事象は59人に発現し、うち12人は本治療薬との関連が否定できなかった。

 INC424のフェーズ3試験として、米国、カナダ、オーストラリアではCOMFORT-I試験、欧州ではCOMFORT-II試験が予定され、患者登録は既に完了している。この2件の試験では、INC424とプラセボ、またはbest available careと有用性を比較し評価する。

 Novartis社はINC424について、米Incyte社から米国外での開発と商業化に関するライセンスを取得している。米国内の権利は引き続きIncyte社が所有する。