遺伝子組み換えワクシニアウイルス製剤であるJX-594が肝細胞癌(HCC)に安全で有効である可能性が報告された。パイロット臨床試験の結果、示されたもの。成果は9月10日から12日にカナダモントリオールで開催された第4回International Liver Cancer association(ILCA)年会で、韓国Pusan National University School of MedicineのJ.Heo氏が発表した。

 JX-594はワクシニアウイルスのチミジンリン酸化酵素遺伝子を欠失させ、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子を挿入した組み換えウイルス製剤。癌細胞でのみ増殖し細胞を溶解させることに加えて、GM-CSFによる免疫刺激で癌細胞を攻撃する。米Jennerex社が開発している製剤だ。

 パイロット臨床試験で現在までに9人の患者がJX-594の投与を受けた。9人のうち5人がソラフェニブの投与を受けたことがあり、5人のうち4人がソラフェニブ難治性だった。JX-594は1日目に静脈内に投与し、8日目と22日目に腫瘍内に投与され、その後ソラフェニブの投与を受けた。試験の主要目的はJX-594とソラフェニブ連続投与の安全性で副次目的は12週時点でのmodified RECIST基準あるいはCHOI基準による疾患制御率だった。JX-594の投与量、ソラフェニブの投与量は明らかにされていない。

 試験の結果、連続投与は忍容性が認められ、JX-594の投与後に最も多く見られた副作用は一過性のインフルエンザ様症状(グレード1-2)だった。ソラフェニブによる副作用プロファイルは、単独投与で報告されているものと同様で、薬物相互作用は認められなかった。

 抗腫瘍効果は評価可能であった7人全員で疾患制御が確認された。Choi基準で有効(15%以上の腫瘍の濃染部の減少)と判定されたのは7人中6人だった。RECIST基準で1人が部分奏効となった。ソラフェニブ抵抗性、難治性の患者5人の中には10カ月以上生存している患者もいた。

 JX-594は現在、原発性HCCを対象に2件のフェーズ2試験が行われており、大規模な無作為化試験が2011年第1四半期に開始される予定だ。