日本における肝細胞癌(HCC)の5年生存率は、1978年の5%に比べて年々改善し、最新データでは43%に上昇していることが明らかとなった。また全生存期間中央値も4カ月から50カ月へと延長していた。日本肝癌研究会による過去から最新の全国原発性肝癌追跡調査(1965年から2年置きに実施)の結果を5年ごとに区切って解析したところ示されたもの。データは信頼性が高い1978年以降のものが解析に利用された。成果は、9月10日から12日にカナダモントリオールで開催された第4回International Liver Cancer association(ILCA)年会で、近畿大学消化器内科教授の工藤正俊氏が発表した。

 工藤氏は改善してきた理由について、学会レベルでハイリスク患者の超音波とAFP値によるサーベーイランスが必要と認識され、1980年頃に全国的に定着したこと、1985年頃に肝動脈化学塞栓療法(TACE)が確立されたこと、1990年頃に経皮的エタノール注入療法(PEIT)が確立されたこと、1995年頃に肝動注化学療法(HAIC)が確立されたこと、2000年頃にラジオ波焼灼療法(RFA)が確立されたことを挙げた。早期検出が行われ、治癒切除技術、腫瘍減量技術、緩和技術の進歩してきたことによるものだ。

 最新の第18回全国原発性肝癌追跡調査では544施設からの2004−2005に新規に診断された2万153件、フォローアップされた3万677件の症例が解析された。日本では新規に診断された患者の60%以上が早期ステージで治癒的治療の候補となる患者だった。

 工藤氏はソラフェニブなどの分子標的薬によって新たな治療が確立され、適切に応用されればHCC患者の生存期間はさらに改善することが期待できると指摘した。