未治療および既治療の進行性腎細胞癌患者に対し、テムシロリムスを静脈内投与する日中韓で行われた国際共同フェーズ2試験の結果が明らかとなった。25mg/bodyの週1回単独投与で有効性が示され、良好な忍容性も確かめられた。また副作用として間質性肺疾患ILD)が多く発生し、死亡例もあるが、他の分子標的薬と異なり、無症候性であることが多いことも明らかとなった。9月1日にファイザーが開催したテムシロリムスの製造承認取得記者発表会で公表された。

 国際共同フェーズ2試験は、グループA(日本人6人)とグループB(日本人14人、韓国人30人、中国人32人)に分けて行われた。グループAの患者には、テムシロリムスが週1回20mg/m2投与された。グループBの患者にはテムシロリムスが週1回25mg/body投与された。

 全82症例の臨床的利益率は47.6%だった(グループAが50.0%、グループBが47.4%)。臨床利益率は完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、24週以上の安定状態(SD)を合わせた患者の割合とした。無増悪生存期間中央値は全症例で7.3カ月(グループAが8.7カ月、グループBが7.3カ月)だった。全生存期間は全症例で19.8カ月だった。

 これらの効果は、海外で実施されたフェーズ3試験と比べ、高い結果となったが、記者会見の講演者の一人あった東京大学先端科学技術研究センター教授の赤座英之氏は「治療のバイアスが考えられるため、必ずしも東洋人でより高い効果が得られるとは言えない」と解説した。赤座氏は講演の中で、公表されたフェーズ2試験について触れ、グループBでの臨床利益率が日本人は71.4%、韓国人は40.0%、中国人は43.8%と、地域によって差があったことを指摘した。

 一方、同試験でグレード3/4の副作用が発現した割合は全症例で50.0%で、重篤な副作用は19.5%だった。主な副作用は発疹、口内炎、高コレステロール血症などだったが、グレード3/4の割合はそれぞれ5%未満だった。

 注目されたのはILDだった。医師報告によるILDは82人中14人(3人がグレード3以上、1人が死亡)だったが、ILDアドバイザリーボードの評価によると77人中44人(57.1%)にILDが画像上に認められ、そのうち21人は無症候性だった。

 この結果について、講演者の一人である帝京大学泌尿器科学主任教授である堀江重郎氏は「これまでのILDでは、異常所見が認められた場合は原因薬剤の中止が原則。しかし、テムシロリムスによるILDは他の薬剤のILDと異なり、頻度は高いものの、無症候性のことが多く、ほとんどの所見は画像によるもの。従って、無症候性の場合にはテムシロリムス投与のリスクとベネフィットを考慮して、厳重に経過観察を行うこと、十分なインフォームドコンセントの上で、投与継続を検討することも必要であると思われる」と語った。またILDは他のmTOR阻害剤でも同様に出現することも指摘した。

 堀江氏は日本におけるテムシロリムスの位置付けにも言及し、薬物療法未治療のpoor riskの腎細胞癌のファーストラインであり、非淡明細胞癌のファーストラインであること、セカンドライン以降の新たな治療選択肢であると説明した。また、テムシロリムスは腎細胞癌の分子標的薬で唯一の週1回投与の静注剤で、確実なコンプライアンスが可能と指摘した。