飲酒が乳癌の危険因子であることは広く知られている。しかし、飲酒がどのようなタイプの乳癌のリスクを上昇させるかについては明らかではなかった。米Fred Hutchinson癌研究センターのChristopher I. Li氏らは後ろ向き観察研究を行い、飲酒はホルモン受容体陰性の乳癌より陽性の乳癌、乳管癌より小葉癌を引き起こしやすいことを示した。研究の結果は、NCIジャーナル電子版に2010年8月23日に報告された。

 著者らは、Women’s Health initiative(WHI )観察研究に1993-1998年に登録された、乳癌ではない50-79歳の女性8万7724人を対象に、ベースラインで調べた自己申告による飲酒量と、その後の浸潤性乳癌罹患リスクの関係を調べた。

 2005年9月15日までの追跡期間中に2944人が浸潤性乳癌と診断された。それらの女性について、乳癌の病理学的分類、乳癌がホルモン受容体(エストロゲン受容体と/またはプロゲステロン受容体)陽性か陰性か、人口統計学的特性、生活様式、乳癌の家族歴、妊娠出産歴などの情報を抽出した。また、飲酒歴に基づいてそれらの女性を、飲酒歴無し、過去の飲酒者、現在の飲酒者に分類。飲酒者は1週間のアルコール飲料摂取量に基づいて6群に層別化した。

 多変量解析により、飲酒は、浸潤性乳癌全体、浸潤性の小葉癌、ホルモン受容体陽性乳癌のリスク上昇と有意に関係していることが明らかになった。特に関係が強かったのは、ホルモン受容体陽性乳癌と小葉癌だった。

 1週間に7ドリンク以上(1ドリンクは純アルコール10グラムを含む)を摂取する女性のホルモン受容体陽性浸潤性小葉癌のリスクは、飲酒歴無し女性の約2倍だった(多変量Cox回帰モデルを用いて推定したハザード比は1.82、95%信頼区間1.18-2.81)。一方、ホルモン受容体陽性浸潤性乳管癌と飲酒の関係は有意にならなかった(ハザード比1.14、0.87-1.50)。

 アルコール飲料の種類によってリスクが変動することはなかった。