転移性非小細胞肺癌患者に対して、標準的な治療に早期からの緩和ケアを加えることによって、QOLやうつ症状が改善するだけでなく、生存期間も2カ月以上延長することが、無作為化試験で確認された。米Massachusetts General HospitalのJennifer S. Temel氏らの研究グループが、New England Journal of Medicine誌8月19日号に発表した。

 研究グループは、転移性非小細胞肺癌と新たに診断された患者151人を、標準治療のみを行う群(74人)と、標準治療と早期からの緩和ケアを行う群(77人)に無作為に分けた。緩和ケア群の患者は、登録後3週間以内に緩和ケアチームのメンバーと会い、外来で月に1回以上、症状改善の治療や精神的サポートなどの緩和ケアを受けた。一方、標準治療群は、患者本人や家族、臨床腫瘍医の希望があったとき以外は緩和ケアを受けなかった。

 患者の平均年齢は標準治療群が64.87歳、緩和ケア群が64.98歳とほぼ同じで、女性の割合はそれぞれ49%、55%、白人が95%、100%を占めた。脳転移のある患者の割合はそれぞれ26%、31%。開始時の治療は白金製剤ベースの併用療法が47%、45%、単剤療法が4%、12%、経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬が両群とも8%だった。また放射線療法を受けた患者は両群とも35%だった。

 試験開始時と12週後にFunctional Assessment of Cancer Therapy - Lung(FACT-L)を用いてQOLを評価した結果、FACT-Lスコア(0〜136点)は緩和ケア群で平均98.0点、標準治療群で91.5点と、緩和ケア群で有意に高かった(p=0.03)。またTrial Outcome Index(TOI)スコア(0〜84点)も、緩和ケア群で59点、標準治療群が53点(p=0.009)で、試験開始時と12週後のスコアの変化は、緩和ケア群は2.3点、標準治療群が-2.3点と有意差が見られた(p=0.04)。

 不安やうつ症状をHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)で評価した結果、うつ症状のある割合は緩和ケア群で16%だが、標準治療群は38%だった。Patient Health Questionnaire 9(PHQ-9)では、大うつ病の症状のある患者が緩和ケア群は4%だが、標準治療群は17%だった。

 さらに終末期の積極的なケアを受けた患者の割合は緩和ケア群が33%、標準治療群は54%だったが、生存期間中央値はそれぞれ11.6カ月、8.9カ月(p=0.02)で、緩和ケア群の方が有意に長い結果となった。