子宮摘出歴のある閉経女性に対するホルモン補充療法において、エストロゲンのみを使用した場合には肺癌死亡リスクは上昇しないことを、米LosAngeles Biomedical Research InstituteのRowan Chlebowski氏らが報告した。詳細は、NCIジャーナル電子版に2010年8月13日に報告された。

 これまでに、Women’s Health Initiative(WHI)の一環として行われた研究の結果、過去に子宮摘出術を受け、その後にエストロゲンプロゲスチンを併用した女性は、肺癌死亡率が有意に高いことが報告されていた。しかし、エストロゲンのみを用いるホルモン補充療法もまた、肺癌リスクに影響を与えるのかどうかは明らかではなかった。

 閉経女性を対象とする複数の研究を行ったWHIの中に、子宮摘出術を受けた女性にエストロゲンのみを投与した二重盲検の無作為化試験もあった。そこで著者らは、その試験結果を後ろ向きに分析した。

 試験は、米国内40施設で子宮摘出術歴のある50〜79歳の閉経女性1万739人を登録し、無作為に抱合型ウマ・エストロゲン(0.625mg/日、5310人)またはプラセボ(5429人)に割り付けたもの。追跡期間は平均7.9年で、肺癌罹患はエストロゲン群61人、プラセボ群54人だった。1年当たりの罹患率は0.15%と0.13%で、ハザード比は1.17(0.81-1.69、p=0.39)となった。肺癌死亡はエストロゲン群34人、プラセボ群33人、ハザード比は1.07(0.66-1.72、p=0.79)で、いずれも両群間に有意差はなかった。

 研究者たちは、エストロゲン+プロゲスチン併用とエストロゲン単剤適用の、肺癌以外の疾患に対する影響も調べた。その結果、冠疾患に対する影響は同様だが、様々なタイプの癌に対する影響は異なることが明らかになった。乳癌の罹患率は併用群で高く、単剤群では低かった。また、大腸癌の罹患率は併用群で有意に低かったが、単剤群のリスクはプラセボ群と同等だった。

 著者らは、分析対象となった患者数が十分でなかったため、さらに研究が必要としながらも、子宮を摘出された女性がエストロゲン単剤使用に不安を抱く必要はないだろうと述べている。