乳癌の発症に関連性があると考えられている複数のSNP(一塩基多型)を、約2万人の女性を対象に解析した結果、SNPの種類によって乳癌のタイプが異なること、ハイリスクとされるSNPを多く持っている人ほど実際の乳癌発症率も高いことが明らかになった。英University of Oxford のGillian K. Reeves氏らが、JAMA誌7月28日号に発表した。

 研究は、英国の女性およそ130万人を対象にした癌に関する大規模なプロスペクティブ研究Million Woman Studyによるもの。解析対象は、2005〜08年に血液検体が提供された乳癌女性1万306人(診断時の平均年齢58歳)と、乳癌ではない女性1万393人だった。

 研究チームは、まず乳癌と関連が深いとされる14のSNPについて、乳癌の発症リスク、ホルモン受容体(ER)や組織型など腫瘍タイプごとの発症リスクを求めた。さらに、既に報告している論文3本と合わせて、3つのSNPに関してメタ解析を行った。

 その結果、14のSNPのうち、7つのSNPで乳癌発症リスクと強い関連性が認められた。中でも、FGFR2-rs2981582とTNRC9-rs3803662という2つのSNPのオッズ比が高いことが示された。

 この2つのSNPは、ER陽性乳癌のオッズ比の方がER陰性乳癌に比べて有意に高かった。FGFR2-rs2981582ではER陽性乳癌のオッズ比は1.3、ER陰性は1.05 (p<0.001)で、TNRC9-rs3803662では、ER陽性は1.24、ER陰性は1.12(p<0.001)だった。

 次に関連が強かった2q35-rs13387042は、ER陽性とER陰性で乳癌のオッズ比に有意な違いは見られなかった。しかし組織型では、小葉癌のオッズ比の方が乳管癌より大きく(それぞれ1.35、1.10、p<0.001)、また両側乳癌のオッズ比の方が片側乳癌より大きかった(1.39、1.15、p=0.008)。

 続いて、FGFR2-rs2981582とTNRC9-rs3803662を含め、乳癌リスクと関連の強かった上位7つのSNPについて、独自のモデルを使ってリスクの高い対立遺伝子を持っている程度を「多遺伝子リスクスコア」として算出し、5群に分けた。

 この結果、最もスコアが高い群における乳癌のオッズ比は1.4であるのに対し、最も低い群のオッズ比は0.7と、2倍の開きがあった。この傾向は、上位4つのSNPを用いた場合でも、上位10個のSNPを用いた場合でも同じだった。

 国際癌研究機関(IARC)の1998〜2002年のデータによれば、70歳までに乳癌を発症する累積発症率は6.3%、うちER陽性乳癌が5%、ER陰性乳癌1.3%と報告されている。このデータを用いて、多遺伝子リスクスコアごとに累積発症率を算出したところ、最もスコアが高い群では8.8%、最も低い群では4.4%であり、ER陽性乳癌はそれぞれ7.4%と3.4%、ER陰性乳癌では1.4%と1.0%となった。

 以上の結果から研究チームは、「乳癌に関する遺伝多型が腫瘍タイプの違いに関与することが確認された。さらに『多遺伝子リスクスコア』は、特にER陽性乳癌の発症予測に役立つ」としている。