進行性腎細胞癌に対するソラフェニブ使用例では、手足症候群や高血圧の多くは投与後1カ月以内に出現するものの、下痢や脱毛は長期的に出現する。さらに、報告数は少ないものの、国内第2相臨床治験では出現しなかった消化管出血が見られた──。これは、根治切除不能または転移性の腎細胞癌患者に対するソラフェニブの全例報告調査である特定使用成績調査の中間報告により明らかになったもので、東京大学先端科学技術研究センター特任教授の赤座英之氏が、7月1日にバイエル薬品が開催したプレスセミナーで発表した。

 ソラフェニブの特定使用成績調査は2008年4月〜10年6月2日までに4366人が登録された。投与開始から12カ月間の観察期間を経てデータ固定ができた868人(08年4〜7月登録)を中間解析の対象とした。

 国内第2相臨床治験の際の対象者と比較して、高齢者がやや多く、86.5%に外科治療歴、88.7%にサイトカイン療法の治療歴があった。転移部位は、肺(75.1%)、骨(31.3%)、肝(16.2%)の順に多かった。転移臓器数は、1カ所が42.6%、2カ所が30%、3カ所以上が26.4%で、具体的には、肺のみが26.0%、肺とその他1臓器が30.0%、肺とその他2臓器以上が19.1%だった。対象の特徴について赤座氏は、「承認後数カ月以内には、新たな治療の選択肢を待っていた患者が一気に登録したため、かなり状態の悪い患者が集まっていると考えられる」とした。

 投与状況については、治療開始から12カ月の時点で投与を継続していたのは35.3%(303人)。投与中止した64.7%(556人)の理由は、半数近くが有害事象であり(44.1%)、効果不十分で中止したケースが32.2%だった。また、全治療期間の中で休薬や減量をしているケースは、それぞれ43.9%、68.1%。12カ月間治療を継続できた303人においては、どの治療期間においても平均1日投与量は500mg/日前後だった。
 
 副作用はほとんどのケースで発生していた(92.55%)が、国内第2相試験で確認されていた発現率(96.95%)と変わらなかった。高頻度だったのは、手足皮膚反応(494例、57.5%)、高血圧(318例、37.0%)、下痢(189例、22.0%)、リパーゼ・アミラーゼの増加(189例、22.0%)、発疹(182例、21.2%)、脱毛症(169例、19.7%)だった。

 一方で、報告数は少なかったものの、国内第2相治験では出現しなかったものとして、4.7%に消化管出血(40例、うち重篤が24例)、0.6%に消化管穿孔(5例、全例重篤)があった。間質性肺炎も3例報告され、うち重症だったのは2例だった。

 副作用の発現時期を検討すると、発疹や手足皮膚反応、高血圧などは、ほとんどが投与開始後1カ月以内に出現しており、「最初の1カ月間が重要な観察期間だろう」と赤座氏。一方で、下痢や脱毛症はやや遅れて出現。脱毛症は投与開始後3カ月以内に多くが出現するが、下痢は3カ月以降も出現しており、全投与期間を通じて経過観察が必要と考えられた。

 赤座氏は、「承認時には知られていなかった副作用が報告されており、今後も引き続き注意が必要」と話し、特に消化管出血や下痢は今後注意喚起が必要だと指摘した。「消化管出血を起こした患者のほとんどは腹腔内転移があり、腹腔内転移を持った患者では、腹部の状態を把握していく必要がある。また、薬剤投与によって腸管粘膜が弱っていくため、下痢などの消化器症状や出血には気をつけていく必要がある。消化器科医との連携も重要だ」と話した。

 有効性については、評価可能だった837人で検討した。奏効率(「著効」または「有効」)26.8%で、「不変」までを含めると78.5%だった。無増悪生存期間の中央値は29週、1年生存率は74.8%だった。評価は腎癌取扱い規約の非観血的治療効果判定基準による。