米Columbia大学のDawn L. Hershman氏らは、ホルモン療法を開始した乳癌患者が治療を完了することはかなり難しいことを明らかにした。指示通り服薬を継続、完了できる女性は全体の49%で、治療中止リスクが最も高いのは40歳未満の患者だった。詳細は、Journal of Clinical Oncology誌電子版に2010年6月28日に報告された。

 タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬を経口投与するホルモン療法が、乳癌の再発と乳癌による死亡を大きく減らすことは明らかだ。にもかかわらず、指示された通り最後まで服薬できる女性は半分程度しかいないことを示した小規模研究が複数あった。そこで著者らは、より確実な情報を得るために、非営利医療保険組織であるKaise Permanente北カリフォルニア支部の処方記録を対象に大規模調査を行った。

 1996-2007年にステージI、II、IIIのホルモン療法感受性乳癌と診断されて、診断から1年以内に1回以上ホルモン療法薬の処方を受けていた8769人の女性の処方と調剤の記録を調べた。

 43%の患者にタモキシフェン、26%にはアロマターゼ阻害薬、30%にはこれら両方が処方されていた。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、治療中止または服薬遵守不良に関係する要因を探した。

 治療中止と有意な関係を示した要因は、40歳未満、75歳超、乳腺腫瘍摘出術、併存疾患あり、など。最も中止リスクが高かったのは40歳未満のグループで、55-65歳と比べたハザード比は1.51(1.23-1.85)となった。

 一方、アジア人、既婚者、診断を受けた年度が早い、化学療法または放射線治療歴あり、調剤間隔が長い、といった要因は、予定された4.5年間の治療完了および薬物遵守良好と有意な関係を示した。

 全体では、治療完了を待たずにホルモン療法を中止していた患者が32%、治療を継続していた患者のなかで処方された薬剤の80%以上を服用した女性は72%で、指示通りの服薬を4.5年間行った患者は全体の49%だったことが明らかになった。

 著者らは、今回分析に含めなかった、関節痛やのぼせ、疲労などといった副作用や、治療効果に関する理解不足、高額の治療費、保険でカバーされない自己負担額なども、治療完了を妨げる要因になると考えている。

 患者の予後向上を目指して、今後も、治療遵守率が低い理由を明らかにし、治療中止を減らす方法を確立するための努力が必要だと著者らは述べている。