乳癌診療ガイドライン(薬物療法)2010年版がこのほど発売された。注目される大きな変更点は、2007年版では推奨グレードがA、B、C、Dの4段階となっていたのに対し、2010年ではCグレードをC1(十分な科学的根拠はないが、細心の注意のもと行うことを考慮してもよい)とC2(科学的な根拠は十分とはいえず、実践することは基本的に勧められない)とに区分したことだ。これは2007年版でグレードCとされたCQ(Clinical Question)について、日常臨床で行ってよいのか行わないほうが良いのか区別があいまいであるとの意見を現場から受けていたためだ。

 また、2007年版で61個あったCQは44個になり、全体の章立ても「基本的な考え方」「初期治療」「転移・再発治療」「特殊病態」「効果予測因子」「副作用」「その他」の7つに再編された。

 CQで注目されるものとしては、まず、従来は術後補助療法として経口5-FU系薬剤が推奨グレードCとされ、「経口フッ化ピリミジン系薬剤は術後無治療よりも有効である可能性は高いが標準治療となっておらず推奨されない」となっていたが、2010年版では推奨グレードC1になり「術後療法としてUFTは手術単独よりも有効な可能性があり治療選択肢として検討してもよい」となったことが挙げられる。

 これは2007年版以降に日本の試験の3つの論文が発表されたことによる。腋窩リンパ節転移陰性ハイリスク乳癌へのCMFに対してUFTが同等であることを示したNSAS BC-01試験、腋窩リンパ節転移陽性乳癌へのCMFに対してUFTが同等であることを示したCUBC試験、NSAS BC-01試験とCUBC試験の統合解析の論文だ。

 次に注目されるのは、トラスツズマブ投与中もしくは投与後に病勢進行となったHER2陽性転移・再発乳癌に対して抗HER2療法を継続することは勧められるかというCQにおいて、推奨グレードB(科学的根拠があり、実践するよう推奨する)として、ラパチニブ・カペシタビンもしくはラパチニブ・トラスツズマブの併用療法は有用であるとされたことと、トラスツズマブの継続や再投与も有用であるとされたことだ。

 これはカペシタビン単独に対してカペシタビン・ラパチニブ併用が良好な結果を示したEGF100151試験、ラパチニブ単独に対してラパチニブ、トラスツズマブ併用が良好な結果を示したEGF104900試験などによる。