膵癌は早期発見が難しく、予後は不良であるが、術前の化学療法や放射線療法で顕著な効果が得られた膵癌患者は、そうでない患者に比べて、生存期間はおよそ4倍にもなることが、米Fox Chase Cancer CenterのYun Shin Chun 氏らの研究で明らかになった。詳細は、6月4日から8日までシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

 乳癌や食道癌、胃癌、大腸癌肝転移などでは、術前治療によって病理組織学的に顕著な効果が見られた患者では予後が良好であることが報告されている。しかし、膵癌では相反する結果も示されており、術前治療による効果と予後の関係は明らかではなかった。

 リリースによると、研究グループは、1987年7月から2009年5月までに、ゲムシタビンあるいは5-FUベースの放射線化学療法を受け、その後、膵切除術を受けた135人のデータを分析対象とした。同センターの病理医であるHarry Cooper氏が患者の腫瘍組織を観察し、術前治療による病理組織学的効果を、残存する腫瘍細胞に対する線維化(fibrosis)の割合によって、minor奏効(50%未満)、partial奏効(50〜94%)、major奏効(95〜100%)の3段階に分類した。

 その結果、minor奏効と判断されたのは全体の17%、partial奏効は64%で、major奏効が得られた患者は19%であった。これらの病理組織学的効果は、治癒切除(R0切除)やリンパ節転移、腫瘍サイズと相関していた。

 生存期間中央値は、minor奏効の患者では17カ月であるのに対し、major奏効では5年以上と長かった。また多変量解析の結果、major奏効とR0切除が独立した予後の予測因子であることが示されている。