進行肝細胞癌患者にマルチキナーゼ阻害剤ソラフェニブを投与する場合、初期投与を通常量の半分である400mg/日で行い、2週間から4週間で副作用が出現しないか制御可能であれば800mg/日に増量する方法が、最初から800mg/日を投与し副作用が出たら減量する方法よりも副作用が軽度であることが報告された。また、少数例のため確定的なことを言える段階ではないが、半量から始めても全量から始めた場合と同等の効果がある可能性も示唆された。成果は5月27日から28日に山形市で開催されている日本肝臓学会総会で、京都桂病院消化器センター消化器内科の畦地英全氏が発表した。

 ソラフェニブは、国外で実施された大規模試験では重篤な副作用は少ないとされていたが、日本では肝不全などが投与開始後、比較的早期に発現することが少なくないことが分かってきた。また、ソラフェニブはできるだけ長期間投与することで、効果を高く維持できることも示唆されており、患者の選択や早期の副作用対策が求められている。

 評価の対象とされたのは、切除不能な進行肝細胞癌患者14人にソラフェニブを投与した例。男性が13人で平均年齢は65.0歳(52歳から80歳)、Child-Pugh分類でAが12人、B(7点、承認前の個人輸入)が2人。PSは0が2人、1が12人だった。11人は400mg/日で開始し、後に増量する方法で投与され、3人が800mg/日で投与を開始された。その結果、全く副作用が出なかったのは、400mg/日群の2人だけだった。手足症候群は400mg/日群はグレード3がなく、グレード2が3人、グレード1が4人だったのに対し、800mg/日群は発現した2人ともグレード3だった。高血圧、下痢、倦怠感でも400mg/日群の方が軽い傾向が見られた。平均投与期間は400mg/日群が24.8週で、800mg/日群は16.3週だった。副作用で中断した症例は400mg/日群にはなく、800mg/日群は3人中2人。平均投与量は400mg/日群が488mg、800mg/日群が516mgだった。

 一方、治療効果は400mg/日群は評価可能だった10人のうち6人が安定状態(SD)で、増悪(PD)は4人だった。800mg/日群はSDが2人でPDが1人だった。

 畦地氏は、400mg/日開治漸増法と800mg/日開治漸減法の比較試験の早急な開始が必要と指摘した。