タカラバイオは5月7日、同社と京都府立医科大学消化器内科教授の吉川敏一氏、准教授の古倉聡のグループが、レトロネクチンを使用して拡大培養したTリンパ球を用いる癌免疫細胞療法の臨床研究を終了し、主要評価項目である安全性を確認したと発表した。今回の臨床研究の結果を受けて、タカラバイオの技術支援のもと、医療法人社団医聖会百万遍クリニックで、レトロネクチン誘導Tリンパ球療法の有償治療を5月13日より開始するという。

 ヒトフィブロネクチンの改変体であるレトロネクチンを用いてリンパ球の拡大培養を行うと、効率よくリンパ球の培養ができるだけでなく、その増殖した細胞中には未分化な細胞であるナイーブT細胞が多く含まれていることが明らかになっている。ナイーブT細胞は、従来法で拡大培養したリンパ球と比べ、体内で持続的に働くことができるため、レトロネクチンを使わない従来法と比べて、より高い治療効果が期待できるという。

 百万遍クリニックで行われる有償治療は1クールとしてT細胞を6回投与するもので、1回の価格が25万円。投与する細胞数は3×109個となる可能性が高いという。

 実施された臨床研究は、標準治療後の残存あるいは再発症例で手術・放射線治療による根治性のある治療の対象とならない消化器癌・肺癌患者9人に1×109個(3人)、3×109個(3人)、9×109個(3人)を2週間隔で2回(被験者の希望により最大6回まで)投与した。主要評価項目は安全性、副次評価項目は腫瘍縮小効果だった。

 試験の結果、9人に重篤な有害事象は認めず、治療効果は、完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)1人、安定状態(SD)4人、進行(PD)3人だった。