米Fred Hutchinson癌研究センターのChristopher Li氏らは、上皮成長因子受容体EGFR)レベルが高い女性はその後乳癌と診断されるリスクが高いことを報告した。乳癌と診断された女性から発症前に採取されていた血液標本をもとに、乳癌リスクの予測因子を探索する取り組みで明らかになった。詳細は、米国癌研究会議(AACR)の第101回年次総会で、4月20日に発表された。

 Li氏らの目標は、乳癌の早期発見に役立つ血中マーカーの発見にある。

 今回マーカー探索に用いられたのは、Women's Health Initiative(WHI)観察研究(OS)のケースコントロール研究部分で採取された血液標本。これらは癌診断前17カ月の間に採血されていた。

 最初に420人のエストロゲン受容体(ER)陽性乳癌患者と、同数の、年齢が一致する乳癌ではない女性(マッチドコントロール)に由来する標本を対象に、質量分析などを行い、マーカー候補となる8つのたんぱく質を選出した。続いて、乳癌患者とコントロール各198人からなる別の集団を対象に、これらのマーカーの有用性を評価した。

 その結果、EGFRが単独でも乳癌発症予測マーカーとして有望であることが明らかになった。

 EGFRレベルに基づいて対象女性を4群に分けて検討した。最高4分位群の女性がその後ER陽性乳癌と診断される可能性は、最低4分位群の女性に比べ2.9倍で、更年期障害のためにエストロゲンとプロゲスチンを用いたホルモン補充療法を受けている女性では、最高4分位群のER陽性乳癌発症リスクは9倍にもなることが分かった。

 ホルモン補充療法中の女性に対する乳癌予測検査としてのこのマーカーの特異性は90%、しかし感度は31%だった。

 ホルモン補充療法中の女性でEGFR高値が特に大きなリスク上昇をもたらす理由は明らかではなく、EGFRのリスク予測における特異性と感度は単独でマーカーとして用いるには不十分だが、複数のマーカーやマンモグラフィーを利用したスクリーニングの結果などと組み合わせることによって、より正確なリスク予測が可能になると期待される。