TGFβ2阻害剤trabedersen(AP12009)がハイグレード神経膠腫に有効であることが報告された。フェーズ2b試験で安全性と効果が確認されたもので、現在国際的なフェーズ3試験SAPPHIREが開始されている。成果は、4月17日から21日までワシントンD.C.で開催された米国癌研究会議(AACR)で、ドイツAntisense Pharma社のPiotr Jachimczak氏が発表した。

 神経膠腫の中で最も多い星細胞腫群は、その悪性度によってWHO (世界保健機関)の脳腫瘍分類により4段階に分けられる。そのうち高度なのは、グレード3の退形成性星細胞腫 (anaplastic astrocytoma)、グレード4の膠芽腫 (glioblastoma)だ。ハイグレード神経膠腫ではTGFβ2が過剰発現していることが知られている。SAPPHIRE試験は、グレード3の退形成性星細胞腫を対象に行われている。

 TrabedersenはTGFβ2特異的なフォスホロチオエート型のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤。複数の穴のある1本のカテーテルを用いた伝達向上デリバリー技術を用いて腫瘍内に投与される。7日間投与し、7日間休薬するのを1サイクルとして最大で11サイクルまで行われた。

 フェーズ2b試験は145人の再発、難治性のグレード3の退形成性星細胞腫 、グレード4の膠芽腫患者を、trabedersenを10μM投与する群(グレード3が12人、グレード4が28人)、80μM投与する群(グレード3が15人、グレード4が34人)、標準的な化学療法(テモゾロミドまたはPCV療法)を行う群(グレード3が12人、グレード4が33人)に分けて行われた。

 試験の結果、最も効果が高かったのはグレード3の退形成性星細胞腫に対するtrabedersenの10μM投与だった。24カ月時点の生存率は、trabedersenの10μM投与が83.3%、80μM投与群が53.3%、標準化学療法群が41.7%だった。生存期間中央値は10μM投与群は39.1カに対して、標準化学療法群は21.7カ月で17.4カ月上回った。

 グレード4の膠芽腫患者では、55歳以下でカルノフスキー・パフォーマンス・ステータスが80%以上の患者で特に効果が認められ、標準化学療法の2年生存率13.3%に対して44%だった。