化学療法難治性の非小細胞肺癌患者において、バイオプシーで癌細胞を一部採取しバイオマーカーを調べることで、より効果の高い化学療法を選択できる可能性が報告された。無作為化フェーズ2試験であるBATTLE試験Biomarker-integrated Approaches of Targeted Therapy for Lung Cancer Elimination)の結果示された。成果は、4月17日から21日までワシントンD.C.で開催される米国癌研究会議(AACR)で、米Texas大M.D. Anderson Cancer CenterのEdward S.Kim氏が発表した。

 研究グループは、バイオプシーで11のバイオマーカーについて調べた。対象となったのは、PCR法によるEGFR遺伝子、KRAS遺伝子、BRAF遺伝子の変異、FISH法によるEGFR遺伝子とサイクリンD1遺伝子のコピー数、免疫組織染色法(IHC)によるVEGF、VEGFR-2、3つのRXR受容体(α、β、γ)、サイクリンD1の発現だった。

 患者は、エルロチニブ1日1回150mg投与群(E群)、ソラフェニブ400mg1日2回投与群(S群)、vandetanib1日1回300mg投与群(V群)、エルロチニブ1日1回150mg、1日1回bexarotene400mg/m2投与群(EB群)に分けられた。以前にエルロチニブの投与を受けたことのある患者はS群かV群に割り付けられた。主要評価項目は、8週間の疾患制御率だった。

 2006年11月から2009年10月まで255人の患者が、E群(59人)、V群(54人)、EB群(37人)、S群(105人)に割り付けられた。患者の年齢中央値は62歳(26-84)、男性が54%、ECOG PS0-1が86%、PS2が14%。白色人種が82%。非喫煙経験者が22%、喫煙歴のある患者が69%、現在も喫煙中の患者が9%だった。腺癌が63%、扁平上皮癌18%、組織型が特定できなかった患者が19%だった。

 8週間の疾患制御率が評価可能だったのは244人で、バイオマーカー11種類全部解析可能だったのは215人だった。EGFRの状態は変異が15%、FISH法で増幅が16%、高度ポリソミーが28%に見つかった。その他のバイオマーカーでは、KRAS変異が20%、VEGF/R2が染まったのは40%、RXRα核染色が80%、サイクリンD1染色が54%などだった。

 全体の8週間の疾患制御率は46%で、全生存期間中央値は9カ月、1年生存率は38%、無増悪生存期間中央値は1.9カ月だった。

 バイオマーカーと各レジメンでの疾患制御率について比べてみると、E群ではEGFR変異のある患者で疾患制御率が良いことが分かった(p=0.04)。EB群ではサイクリンD1のIHCによる染色陽性である患者(p=0.001)、FISHによるEGFRの増幅がある患者(p=0.006)で良いことが分かった。一方、V群では、VEGFR2がIHC法で陽性の患者で良いことが分かった(p=0.05)。S群ではEGFR変異のある患者(p=0.012)、EGFRの高度ポリソミーがある患者(p=0.048)で悪かった。

 E群とEB群でEGFR変異と増幅がある患者(6人)では、100%疾患制御ができていたが、S群でEGFR変異と増幅がある患者(6人)では疾患制御率は0%だった。KRAS変異のあった患者ではS群で疾患制御率が61%と、他の3群(32%)に比べて高い傾向があった(p=0.11)。

 KRASの変異ではシステインに置換された患者は、他のアミノ酸に置換された患者やKRAS野生型の患者よりも無増悪生存期間が悪くなっていた(全患者でp=0.067、S群でp=0.038)。