米Molecular Insight Pharmaceuticals社は4月12日、放射線治療薬Yttrium-90 edotreotide(以下、90Y-edotreotide)のフェーズ2試験で転移性カルチノイド腫瘍患者の症状が改善する結果が得られ、4月1日に出版された米国臨床腫瘍学会(ASCO)のJournal of Clinical Oncology(JCO)に掲載されたと発表した。

 転移性カルチノイド腫瘍による下痢などの症状は患者を衰弱させ、生命を脅かす場合もある。症状はソマトスタチンアナログ製剤のオクトレオチドで緩和されるが、最終的にはオクトレオチドに抵抗性となる。その場合には、有効性が証明された治療選択肢は残されていない。

 90Y-edotreotideは、転移性カルチノイド腫瘍および膵内分泌腫瘍においてアップレギュレートされたソマトスタチン受容体を選択的に標的とする、新しい放射線治療薬である。

 米と欧州の18の施設で実施された90Y-edotreotideのフェーズ2試験では、悪性の転移性カルチノイド腫瘍(消化管と気管支の神経内分泌腫瘍)で1つ以上の測定可能病変があり、オクトレオチドによる従来の治療に抵抗性を示す患者90人を対象とした。

 本試験の主要目的は、90Y-edotreotide の症状緩和における有効性を評価することだった。90Y-edotreotideは4.4GBq(120mCi)を6週ごとに1回投与し、3サイクル施行した。

 その結果、奏効または安定状態は67人(74.4%)にみられ、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間の中央値は16.3カ月と26.9カ月だった。持続性の下痢が改善した38人のPFSの中央値は18.2カ月で、下痢が改善しなかった18人の7.9カ月と比べて有意に延長した(p=0.031)。

 評価した12の症状の全てにおいて、統計学的に有意な改善傾向が認められた。カルチノイド腫瘍に関連する不安、うつ、疼痛、不快感などを評価したQOLの改善も示された。

 University of Iowaの放射線学の教授で、本試験の筆頭筆者でもあるDavid L. Bushnell氏は、「90Y-edotreotideによる治療は忍容性が良好で、有害事象は受容可能な予測されたものだった。治療の選択肢がない患者において、悪性カルチノイド腫瘍に関連する症状がこの治療で改善することが明らかになった」と話した。

 有害事象は87人(96.7%)に発現した。9人(10%)は有害事象で治療を中止し、うち5人は消化管に関する事象だった。12人(13.3%)は用量の調節や投与中止が必要となった。

 最も多い76人(84.4%)に発現した有害事象は、嘔気、嘔吐、下痢を伴う消化管症状で、腎の放射線曝露を抑えるために同時に投与したアミノ酸溶液が関与した可能性も考えられた。

 グレード3から4の有害事象は54人(60%)で報告され、リンパ球減少、嘔気、嘔吐であった。また3人(3.3%)には、グレード3の乏尿や排尿障害、グレード4の腎不全といった腎毒性や尿路毒性が出現した。乏尿と腎不全は6日間、排尿障害は42日間持続した。

 90Y-edotreotideは、フェーズ3試験のプロトコールデザインが欧州医薬品庁(EMA)に受理され、オーファンドラッグとしての指定が承認された。米国でも食品医薬品局(FDA)にオーファンドラッグとしての指定を受けている。