2006年に開始された、転移・再発乳癌の一次治療として、タキサン系薬剤とS-1を比較するランダム化比較試験であるSELECT BC試験において、試験への同意が得られた患者群と辞退した患者群を対象に、前向きに予後調査を行うSELECT BC-ECO試験と、臨床試験への参加・辞退の意思決定に影響する因子をアンケートにより調べるSELECT BC-FEEL試験が並行して進んでいることが分かった。

 4月8日から10日まで名古屋市で開催された第110回日本外科学会定期学術集会の第8回臨床研究セミナーの中で、国立病院機構九州がんセンター乳腺科の大野真司氏が明らかにした。SELECT BC試験は、副作用とQOLを重視した薬剤選択の妥当性を検討するために開始され、現在、遠隔転移のある進行乳癌および再発乳癌患者540人が登録されている。

 大野氏は「肺癌においては、参加者と辞退者の予後に差がなかったとする報告があるようだ。臨床試験を辞退した患者が実際にどのような治療を受けているのか確認したい。また、臨床試験をなぜ辞退したのかを知ることで、今後の説明の改善へと生かしていきたい」と述べた。

 同氏はさらに、日本で使用できる治療薬が世界標準と異なる、いわゆるドラッグ・ラグに関して、「グローバルで実施される臨床試験により積極的に参加していくことで、少しずつでも差を解消していけるはずだ」と訴えた。