肝癌に対する局所療法として、ラジオ波焼灼療法マイクロ波凝固療法などの局所凝固が知られている。横隔膜下に位置する肝癌に対し、横隔膜を経由してエコー下に局所療法を行うよりも、胸腔鏡下に横隔膜を切開し、癌を直視しながら局所療法を行う方が良好な結果が得られる可能性が示された。第110回日本外科学会定期学術集会で熊本大学消化器外科の村田飛鳥氏が発表した。

 対象は、1999年1月から2010年2月に肝癌に対し肝局所凝固療法を行った111人(男性82人、女性29人、平均年齢65.3歳)。肝障害度はAが53人、Bが50人、Cが8人だった。腫瘍個数は平均1.6個、腫瘍径は平均23.5mm。初回治療ではない患者が64.5%を占めた。このうち、横隔膜切開を行ったのは57人、経横隔膜穿刺を行ったのは54人。経横隔膜穿刺を行った原因は、胸腔内または腹腔内癒着と非表在型腫瘍が約半数ずつだった。局所療法による合併症はのべ12人にみられ、難治性胸水が5人と最も多く、次いで気胸(3人)などだった。術後在院期間中央値は11.5日だった。

 局所療法の手技として、横隔膜切開と経横隔膜穿刺を比較したところ、手術時間や出血量については両群に差はみられなかった。手技ごとに3年生存率を比較したところ、肝障害度Aでは、横隔膜切開63.8%に対し、経横隔膜穿刺58.3%と有意差はみられなかったが、肝障害度Bでは、横隔膜切開68.4%に対し、経横隔膜穿刺37.7%と有意に横隔膜切開が優れていた(p=0.0048)。一方、肝障害度別に全体の生存率を比較したところ、有意差はなかった。

 村田氏は、「横隔膜切開による胸腔内播種の危険性に対しては、十分な洗浄で対応できると考えている。実際、播種性再発は今のところ経験していない。また、肝障害度別の生存率に有意差がなかったことから、肝障害度の高い患者であっても、腫瘍の位置によっては積極的な横隔膜切開による局所療法を試みる価値があるのではないか」とまとめた。