先進医療として実施されてきた「腹腔鏡下肝部分切除術(肝外側区域切除術を含み、肝腫瘍に係るものに限る)」は、中央社会保険医療協議会の審議を経て、今年4月の診療報酬改訂で新たに保険収載されることとなった。今年1月14日に行われた厚生労働省の先進医療専門家会議で、「優先的に保険導入が適切である」と評価されていた。

 1月の先進医療専門家会議では、第2項先進医療の保険導入が検討された。対象となったのは、既存の第2項先進医療103技術のうち、平成21年6月末までに先進医療として承認され、実績報告が提出された94技術。その結果、普及性、有効性、効率性などから保険適用とすることが適当と考えられた12技術の保険導入が決定した。

 3月5日には、厚生労働省から施設基準が告示された。この基準に適合することを各病院が申請し、承認されると、その病院では「腹腔鏡下肝部分切除術(肝外側区域切除術を含み、肝腫瘍に係るものに限る)」が保険を適用して受けられることになる。同手術で肝部分切除が行われた場合の診療報酬点数は5万600点、肝外側区域切除が行われた場合は6万2100点となる。

 今回保険収載されることとなった部分切除や外側区域切除を中心とする腹腔鏡下肝切除術は、平成10年7月に先進医療として承認されている。その後、平成20年8月には、切除範囲がより大きな肝切除に適用できる腹腔鏡補助下肝切除術(部分切除及び外側区域切除を除く)が高度医療として承認され、先進医療の一類型として保険診療と併用できることになっている。

腹腔鏡下肝部分切除術を安全に普及させることが責務

 完全腹腔鏡下手術、腹腔鏡補助下手術、用手補助腹腔鏡手術(HALS)による肝臓内視鏡外科手術を国内で安全に普及させることを目的に活動を続ける肝臓内視鏡外科研究会(代表世話人=東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科・金子弘真氏、岩手医科大学外科・若林剛氏)がある。これまでに定期的に、アンケートによる全国調査を実施している。

 安全性について、昨年12月の発表によると、2008年12月までに肝臓内視鏡外科手術が行われた全国32施設の患者1057人において、開腹手術に移行したのは2.2%で、海外の報告(10%)と比べて極めて低かった。再手術例はなく、周術期死亡0.2%、術中偶発症1.7%、術後合併症9.0%などの発生率であった。

 同研究会の若林氏は、「腹腔鏡下肝部分切除術を安全に普及させることが研究会の責務と考えている」と話している。4月5日に岩手医科大学で行われる腹腔鏡下肝部分切除術には、全国から多くの外科医が見学に訪れる予定である。