National Comprehensive Cancer NetworkNCCN)は、NCCN臨床実践ガイドラインに、新たに悪性胸膜中皮腫のガイドラインを加え、その内容を3月10日から14日にかけて米ハリウッドで開催されたNCCN第15回年次会議で発表した。今回のガイドラインでは、NCCN悪性胸膜中皮腫パネルメンバーの1人である米メモリアルスローン癌センターのLee M. Krug氏が、他のメンバーとともに悪性胸膜中皮腫に対するファーストライン治療のレジメンと同様の治療選択肢を検討し、推奨している。

 中皮腫は稀な形をとる癌で、中皮、すなわち体内臓器の多くを覆う防御嚢の中に悪性細胞を認める。胸膜中皮腫は、中皮腫の中で最も多くみられるタイプである。主な危険因子はアスベスト曝露であるが、20年以上潜在する場合があり、疾病素因も必要と考えられる。さらに治療で放射線の曝露を受けた場合も発症する可能性がある。

 本ガイドラインは、悪性胸膜中皮腫に対する初回評価、治療前の評価、臨床病期I〜IIIで手術が適応できる場合と適応できない場合の各治療法、化学療法、手術療法、放射線療法についての項から構成される。

 診断についてKrug氏は、「中皮腫の症状は他の多くの疾患と似ているため、診断が難しい場合が多い。医師の初回評価で胸膜滲出液の存在が明らかになっても、胸膜滲出液の細胞診断で見落とされることもある」と話している。中皮腫の主な症状は息切れや胸痛で、その他に腫瘍熱、発汗、体重減少、肺炎などがある。

 初回評価には、CTや胸膜生検に加え、この疾患の存在を示す可能性があるマーカーとして「可溶型メソテリン関連蛋白(SMRP)」と骨の主要蛋白質「オステオポンチン」が示されている。

 手術療法の項には、早期の患者に対して行う胸膜切除術/胸膜剥皮術から、胸膜、肺、横隔膜、心膜などを摘除する侵襲の大きな胸膜肺全摘除術までが記載されている。手術療法単独では残存腫瘍と再発率の高さの点から不十分なため、術前治療と手術標本の病理学的所見に基づき、化学療法または放射線療法による補助療法を行う必要がある。

 放射線療法の項では、放射線腫瘍医、外科医、臨床腫瘍医、画像診断の専門家、呼吸器科医による患者の評価を含む、多様なアプローチの必要性が強調されている。また放射線療法は、術後の局所コントロールを改善する補助療法としてだけでなく、中皮腫に伴うことが多い胸痛の緩和にも有効なことが記載されている。

 化学療法の項では、ペメトレキセドとシスプラチン、またはペメトレキセドとカルボプラチンンの併用が、最適なファーストラインの併用化学療法として推奨されている。セカンドライン治療には、ファーストライン治療で使用しなかった場合はペメトレキセド、その他にビノレルビンやゲムシタビンが推奨されている。

 なお、この最新版のガイドラインとその他のNCCNガイドラインは、NCCN.orgで無料で入手できる。