米Eli Lilly、米Merck、米Pfizerの3社は、2010年2月23日、アジアに患者が多い肺癌と胃癌の研究を進めて、より良い治療法の開発を促進するために、Asian Cancer Research Group社(ACRG社)を設立したと発表した。

 ACRG社は独立した非営利会社。他の地域に比べアジアで有病率が高い癌を対象に、患者由来の標本を詳細に分析し得られる情報を蓄積して世界の科学者たちに広く提供する計画だ。背景には、環境と遺伝的な要因が癌の分子的な差を非常に大きくしており、そうした差を明らかにすれば治療法の開発は容易になるという考えがある。

 協力の焦点は、当初は肺癌と胃癌に当てられる。これらはアジアで特に罹患率が高い上に、肺癌の場合には、欧州の患者にはまれなEGFR変異がアジアでは約4割の患者に見られること、この変異が分子標的薬ゲフィチニブに対する反応性に影響することが明らかになっている。

 今後2年間、3社は、癌ファーマコゲノミクス・データベースの構築を進める。そこには、肺癌、胃癌の患者から採取された約2000の組織標本から得られるデータが登録される。将来は個々の患者の長期的な臨床データも登録される予定だ。データは公益のために研究者たちに公開されて、診断技術の開発、既存の治療の最適化、新規治療の開発などに役立てられる見込みだ。

 データベースは、Eli Lillyがシンガポールに保有する研究所が管理、提供する。

 3社は、将来的には協力の対象を他の癌にも拡大する計画だ。