腹膜播種を伴う胃癌にS-1パクリタキセルの経静脈・腹腔内併用療法が効果の高い治療法であることが明らかとなった。成果は2月19日から20日に福岡市で開催された日本消化管学会で、東京大学大学院医学系研究科腫瘍外科の石神浩徳氏が発表した。石神氏らは、パクリタキセルの腹腔内投与を高度医療として承認を受け、昨年12月から条件とされた新たなフェーズ2試験を進めている。また、5施設が高度医療として承認を受けるために準備しているという。

 石神氏は、まず、組織学的に証明された切除不能または再発胃がん患者で、P1(腹膜播種)期またはP0CY1(腹腔内洗浄細胞診陽性)患者を対象に実施したフェーズ2試験の結果を紹介した。参加した患者は40人で、切除不能が27人、遺残が5人、再発が8人だった。また、前治療ありが17人、なしが23人、P1期が34人、P0CY1期が6人だった。腹水貯留は21人に、水腎症が9人に、腸管狭窄が6人に認められた。

 21日を1サイクルとしてS-1の80mg/m2を1日目から14日目まで経口投与し、パクリタキセルは1日目と8日目に50mg/m2を静脈内に、20mg/m2を腹腔内に投与した。主要評価項目は1年全生存率だった。

 試験の結果、1年全生存率は78%、2年全生存率は43%で、全生存期間中央値は23.6カ月となった。

 さらにフェーズ2試験の前後の同じ治療を受けた患者を加えた全部で70人のP1症例の1年全生存率は77%、2年全生存率は47%で、全生存期間中央値は22.6カ月だった。

 次に石神氏は化学療法奏効後手術の結果を発表した。手術適応は、腹水(または腹腔洗浄)細胞診陰性化、画像診断上、明らかな非治癒因子を認めない、腹膜播種が消失または明らかに縮小(審査腹腔鏡)とした。手術はフェーズ2試験に参加した患者、さらにその前後に同じ治療を受けた患者のうち32人を対象に行われた。年齢中央値は57歳(28-86)でP1が26人、P0CY1が6人だった。

 奏効後切除を受けた32人の全生存期間中央値は34.5カ月だったのに対して、非切除(28人)では13.5カ月だった。切除群の無再発・無増悪生存期間中央値は20.1カ月だった。