デンマークCopenhagen大学のHans H. Wandall氏らは、癌患者の血液中には、癌細胞の表面に存在する異常な糖たんぱく質(ムチン1)に対する抗体(自己抗体)が存在することを明らかにした。この種の抗体は健常人には認められないため、癌の早期発見を実現する高感度のバイオマーカーとして有用と期待される。

 詳細は、Cancer Rsearch誌電子版に2月2日に報告された。

 ムチンは、O-グルコシド結合を介してポリペプチドに結合した糖鎖を持つ糖たんぱく質ファミリーで、細胞表面に存在し、細胞間相互作用に重要な役割を果たしている。これまでに、癌細胞は正常細胞とは異なる種類のムチンを産生していること、また、ムチンに結合している糖鎖に変化が見られることが明らかになっていた。

 著者らは、癌細胞の表面に存在するムチンの分子構造が正常細胞とは異なるとしたら、それらを標的とする自己抗体が産生されるのではないかと考えた。

 今回は、癌の悪性度との関わりが指摘されているムチン1に注目、ムチン1に由来する異常な糖鎖抗原に対するIgG自己抗体を検出することにした。そのために、O-糖ペプチド・マイクロアレイを開発し、乳癌、卵巣癌、前立腺癌の患者から採取した血液標本を分析した。

 その結果、癌患者には異常なムチン糖鎖を認識する自己抗体が存在するが、健常人にはそうした抗体は見つからないことが明らかになった。

 数多くの標本を分析しないと、このマイクロアレイ技術が臨床的にも有用かどうかは明瞭にならないが、予備的な結果は、癌の早期診断を目的とする血液検査の開発に利用できる可能性を示した。