米食品医薬品局(FDA)は1月29日、ホルモン療法が必要とされるホルモン受容体陽性でHER2陽性の閉経後の進行乳癌患者の治療として、レトロゾールとの併用でラパチニブを承認した。

 ラパチニブは、細胞内でHER2タンパクの機能を妨げ、腫瘍細胞の増殖に必要なシグナルを阻害する。米国ではカペシタビンとの併用で2007年に初めて承認された。対象は、進行乳癌でアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤およびタキサン系抗悪性腫瘍剤、トラスツズマブによる治療歴があるHER2陽性の進行乳癌患者であった。

 HER2は正常細胞の増殖に関与するタンパクで、乳癌細胞などに認められるものもある。ホルモン受容体陽性乳癌ではある種のホルモンが乳癌増殖の一因となり、HER2陽性乳癌ではHER2受容体の刺激が癌細胞増殖の一因となる。

 FDA医薬品評価研究センターのOffice of Oncology Drug Productsの責任者、Richard Pazdur氏は、「今回承認された併用療法は進行乳癌患者にとって重要な治療選択肢となる。この経口薬の治療レジメンではHER2受容体とホルモン受容体の両方を標的とし、癌細胞の増殖と拡散を抑制する」と説明した。

 ラパチニブとレトロゾールの併用療法とレトロゾール単剤療法に無作為に割り付けたHER2陽性乳癌患者において、無増悪生存期間は併用療法群35週、単剤療法群13週となり、前者で2倍超に延長した。全生存期間の改善の有無については今後の報告を待つ必要がある。

 この試験の安全性に関する情報は、進行乳癌に対するラパチニブの過去の臨床試験の結果と一致しており、最も多く報告された副作用は下痢、発疹、嘔気、疲労感だった。ラパチニブによる治療は心機能低下、肝障害、肺組織の炎症とも関連し、妊婦では生命に関わる可能性もある。