Vical社は1月28日、転移性黒色腫患者を対象としたAllovectin-7の国際的多施設共同フェーズ3試験で、計画されていた375人の登録が完了したと発表した。Allovectin-7は新しいメカニズムの免疫誘導型の癌治療ワクチンで、承認されればこの20年間で最初の新規第1選択薬となる。

 Allovectin-7は、プラスミドDNAと脂質リポソームの複合体。プラスミドDNAは、免疫細胞の標的となるHLA-B7とβ2ミクログロブリンの遺伝子を含み、腫瘍細胞にHLA-B7蛋白質とβ2ミクログロブリン蛋白質を発現させる。一方の脂質リポソームは、プラスミドDNAと複合体を形成し、免疫反応を誘導しやすくする。Allovectin-7を直接、腫瘍内に投与することで、局所および転移癌に対する免疫反応を刺激すると考えられている。

 フェーズ3試験は、AIMM (Allovectin-7 Immunotherapeutic for Metastatic Melanoma) 試験と名付けられている。対象はステージ3もしくは4の再発転移性黒色腫で、化学療法を受けていない患者。なお、手術や術後補助療法、免疫療法(biotherapy)を受けた患者は含まれる。患者を2:1の割合で、Allovectin-7群と対照群に無作為に割り付け、対照群は担当医師の選択によって、dacarbazineやtemozolomideが投与された。

 主要評価項目は、無作為化割付後24週以降の奏効率とし、安全性と忍容性についても評価される。現在のところ、治療薬関連の重篤な有害事象は見られず、3つの独立安全性モニタリング委員会は安全性を確認し、試験の継続を支持している。試験は北米、欧州、ブラジル、イスラエルなどで実施されている。

 このフェーズ3試験は、米食品医薬品局(FDA)からSpecial Protocol Assessment (SPA、特別プロトコール査定)の承認を受けている。またAllovectin-7は、FDAからオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定されており、販売承認が得られた場合、その後7年間は市場独占権が与えられる。Vical社は、Allovectin-7には転移性黒色腫の治療薬として年間5億ドルを超える世界的な市場があると予測しており、他の癌にも適用可能であるとしている。すでに頭頚部癌におけるフェーズ1/2試験で抗腫瘍効果が確認されている。

 また、Vical社と研究開発契約を締結している米AnGes社は、契約に基づき、AIMM試験の資金として2260万ドルをVical社に供給した。そのかわりAnGes社は日本をはじめ、アジアの主要な国の販売権を持っている。なお、アジアでは黒色腫よりも頭頚部癌の患者が多く、AnGes社の関心はAllovectin-7の頭頚部癌に対する効果にあるとの見方がある。