抗上皮成長因子受容体EGFR)抗体製剤のパニツムマブに、セカンドライン治療でのFOLFIRI療法への上乗せ効果が認められることが報告された。フェーズ3試験の結果、明らかになった。1月22日から24日まで米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、ベルギー・ゲント大学のM.Peeters氏が発表した。

 試験は、欧州、北米、日本、ロシア、オーストラリアの計25カ国で、切除不能な転移巣を有する大腸癌患者1083人を、FOLFIRIとパニツムマブの併用群(541人)またはFOLFIRI群(542人)に無作為割付して行われた。対象患者はファーストライン治療として、オキサリプラチンおよびベバシズマブを使用していた。EGFR抗体製剤の効果予測因子として知られるKRAS遺伝子型は、FOLFIRIとパニツムマブの併用群で野生型56%、変異型44%。FOLFIRI群で野生型54%、変異型46%だった。

 両群のKRAS野生型での無増悪生存期間中央値を比較したところ、FOLFIRIとパニツムマブの併用群では5.9カ月、FOLFIRI群では3.9カ月となり、有意差が得られた(p=0.004)。一方、KRAS変異型での無増悪生存期間中央値は、FOLFIRIとパニツムマブの併用群で5.0カ月、FOLFIRI群では4.9カ月となり、有意差はなかった(p=0.14)。

 また、KRAS野生型での全生存期間中央値は、FOLFIRIとパニツムマブの併用群で14.5カ月、FOLFIRI群では12.5カ月と有意差は得られなかったものの、パニツムマブ群でやや延長する傾向にあった(p=0.12)。一方、KRAS変異型の全生存期間中央値は、FOLFIRIとパニツムマブの併用群で11.8カ月、FOLFIRI群で11.1カ月と、ほぼ同程度にとどまった(p=0.55)。

 各群の奏効率(部分奏効+完全奏効)は、KRAS野生型のFOLFIRIとパニツムマブの併用群で35%、KRAS野生型のFOLFIRI群で10%とパニツムマブの併用により上昇する傾向があった。KRAS変異型のFOLFIRIとパニツムマブの併用群で13%、KRAS変異型のFOLFIRI群で14%だった。

 何らかのグレード3以上の有害事象がみられた患者は、KRAS野生型のFOLFIRIとパニツムマブの併用群で73%、KRAS野生型のFOLFIRI群で52%、KRAS変異型のFOLFIRIとパニツムマブの併用群で64%、KRAS変異型のFOLFIRI群で50%だった。EGFR抗体製剤に特徴的な皮膚毒性は、FOLFIRIとパニツムマブの併用群では野生型の37%、変異型の32%にみられ、FOLFIRI群では1〜2%だった。下痢や腹痛、肺塞栓症、脱水などは各群に明らかな差はなかった。

 Peeters氏は「パニツムマブは、KRAS野生型の大腸癌患者に対しては、臨床的に意義のある効果が得られることが分かった。有害事象の頻度をFOLFIRIと比較しても、忍容性に優れていると言える。FOLFIRI療法を行っている患者で、上乗せを検討する価値はあるだろう。しかし、KRAS変異型の大腸癌患者に対するセカンドライン治療としては、パニツムマブは有益性を示せなかった」と結んだ。