普段の食事に含まれるポリアミンを減らすことで、大腸癌を予防できるかもしれない――。1月22日から24日まで米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、米カリフォルニア大学のKavitha P.Raj氏はこう述べた。ポリアミンは、オレンジジュースや肉、グリーンピース、とうもろこしなどに豊富に含まれており、アミノ酸の一種から体内でも合成される。合成が活発化することは細胞増殖とかかわりが深く、癌との関連についても以前から指摘されている。

 Raj氏らは既に、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の1つであるスリンダクとジフルオロメチルオルニチン(DFMO)の併用によりポリアミンの合成を阻害すると、大腸腺腫の発生を70%抑制できることを報告している。今回は、食事と組織内ポリアミン量との関係を調べ、摂取したポリアミンが大腸ポリープの性状に与える影響を調べることを目的とした。

 対象は、1年以内に1回以上、大腸ポリープの切除歴があり、試験への同意が得られた222人(男性164人、女性58人、平均年齢60歳)。癌患者および血縁者に家族性大腸癌患者がいる場合は除外とした。対象者のポリープの数は、1個が43%、2〜3個が36%、4個以上が21%だった。対象者には摂取した食事を記録してもらい、ポリアミンデータベースを用いて、食事に含まれるポリアミン量を求めた。食事全体に占めるポリアミンの割合が75%以上の場合を高摂取群(55人)、それ以下の場合を低摂取群(167人)とした。

 その結果、1cmを超えるポリープは、高摂取群43.6%に対して低摂取群26.4%(p=0.01)で、高摂取群に多かった。高分化型腺腫は、高摂取群32.7%に対して低摂取群20.4%(p=0.06)で、また、前癌病変は、高摂取群52.7%に対して低摂取群35.9%(p=0.03)と、いずれも有意差が得られた。

 Raj氏は「食事からのポリアミンの摂取量が多いと、大きなポリープや病勢の進行した腺腫がみられる割合が高くなった。今回の研究は対象者数が少なく、ポリアミンの摂取量を正確に計測できていないといった限界はあるものの、大腸癌予防にポリアミンが重要な役割を果たす可能性がある」とまとめた。