切除不能な進行肝癌に対し、90Yラベルマイクロスフェアを用いた放射線塞栓療法が有効であることが明らかになった。1月22日から24日まで米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、スペイン・パンプローナ大学のB.Sangro氏が発表した。

 90Yラベルマイクロスフェアとは、30〜35μmほどのポリビニルアルコール塗布セラミックビーズにイットリウム-90(90Y)を結合させたもの。半減期は64.2時間。塞栓物質として肝動脈を塞ぎ、腫瘍近傍部から放射線照射を行うことで、腫瘍を縮小させるという治療法だ。抗癌剤と塞栓物質を注入する肝動脈化学塞栓療法(TACE)と同様、塞栓を形成させ、局所的に放射線照射を行うことで副作用を抑え、効果を高めることが目的。

 Sangro氏らは、放射線塞栓療法の有効性を大規模に検証するため、欧州8施設で以下の検討を行った。対象は、切除不能な進行肝癌患者250人(男性204人、女性46人、平均年齢65.2歳)。Child Pugh分類はAが81.2%、Bが18.0%、Cが0.8%だった。

 追跡期間中央値8.9カ月で、全生存期間中央値は14.1カ月だった。1年生存率は57%、2年生存率は31%、3年生存率は21%となった。Child Pugh分類別に全生存期間を比較したところ、Aは15.9カ月、Bは10.3カ月、Cは2.4カ月となり、各群間に有意差があった(p<0.001)。また、腫瘍の数(1個、2〜5個、6個以上)で分けた場合にも、各群間に有意差がみられた(p<0.001)。

 放射線塞栓療法開始から1週間以内にみられたグレード3の有害事象は、吐き気2.7%、腹痛2.0%、疲労感0.8%だった。それ以降から3カ月までにみられたグレード3/4の有害事象は、高ビリルビン血症6.2%、肝機能障害4.6%、疲労感2.9%などだった。

 Sangro氏は、「放射線塞栓療法は、グレード3以上の有害事象が少なく、安全性に優れていた。肝臓の状態がよい切除不能な進行肝癌患者に対し、適した治療法と考えられた。肝癌のステージ分類に基づいてより詳細な検討を行い、この治療法が適した患者をさらに見極めたい」とした。