CD44が特定の遺伝子型の患者では、局所胃腺癌の再発が早期に起こる可能性がレトロスペクティブな解析の結果、明らかとなった。成果は、1月22日から24日まで米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、米Southern California大学のThomas Winder氏が発表した。

 CD44は細胞接着、細胞移動、リンパ球活性化などに関与している膜たんぱく質。CD44にはヒアルロン酸とオステオポンチンが主に結合する。CD44は、新生組織で過剰に発現し、細胞分裂の高速化に関与している。また、CD44の高度発現と胃癌の予後不良が関連することが知られている。加えて、CD44は胃癌幹細胞のマーカーでもある。

 Winder氏らは、CD44遺伝子型と局所胃腺癌の臨床的な予後について解析した。137人(T1が4人、T2が44人、T3が79人、T4が10人)の患者の血液またはパラフィン包埋組織検体をもとに、PCR-RFLP法により遺伝子型を調べた。その結果、イントロン領域にあるCD44rs187116がグアニン(G)かアデニン(A)かという多型とCD44rs716432がGかAかという多型が転写調節に関与していることが分かった。

 予後との関係を調べたところ、CD44rs187116がA/Aの患者(30人)では再発までの時間の中央値が7.0年だったのに対し、A/GかG/Gの患者(94人)では2.1年だった。全生存期間中央値も、A/Aの患者が7.0年に対してA/GかG/Gの患者では4.1年だった。CD44rs716432がG/G(36人)だった患者では、再発までの時間の中央値が7.0年に対し、A/GかA/Aの患者(91人)では2.2年だった。全生存期間中央値も、G/Gが7.3年でA/GかA/Aの患者では3.8年だった。

 この2つの多型を組み合わせ1個か2個良好な多型を持つ患者(55人)では、再発までの時間の中央値は7.0年だったのに対し、1個もない患者(67人)では1.7年だった(調整p値=0.016)。全生存期間中央値は、1個か2個良好な多型を持つ患者では7.3年だが、1個もない患者では3.6年だった。

 Winder氏は、得られた結果は大規模なプロスペクティブ試験で評価される必要があるとしながら、CD44の遺伝子多型が腫瘍再発の高リスク患者を同定できるかもしれないとし、さらにCD44情報伝達経路が抗癌剤開発の標的になりうることを示唆した。