HER2陽性進行胃癌患者に標準的な化学療法に加えて抗HER2陽性抗体トラスツズマブをファーストラインとして投与すると、標準的な化学療法群のみの群に比べて、QOLを損なうことなく、有意に生存期間が延長できることが明らかとなった。国際的なフェーズ3試験のToGA試験の2群の患者のQOLの変化を調べた結果、判明したもの。

 成果は1月22日から24日に米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で、近畿大学腫瘍内科の佐藤太郎氏が発表した。

 ToGA試験は3807人の患者からHER2陽性の810人を選び出し、さらにその中から進行胃癌患者584人を2群に分けて行われた。標準療法のみ群(290人)は、5FUまたはカペシタビンにシスプラチンを投与された。標準療法に加えてトラスツズマブを投与された群は294人で構成された。

 この試験で、投与1日目から患者のQOLをEPRTC QLQ-30(30の質問で構成)と胃癌に関連したQOLを調べるQLQ-STO22(22の質問で構成)3週間置きに病状が進行するまで評価した。また、 痛みの測定法であるVAS(Visual analogue scale)の調査も3週おきに行った。さらに胃の痛みに対する鎮痛剤の投与も両群で比較した。

 試験の結果、全生存期間中央値は標準療法のみ群が11.1カ月だったのに対して、トラスツズマブを加えた群は13.8カ月で、ハザード比0.74(95%信頼区間;0.60-0.91、p=0.0046)で統計学的に有意に延長していた。副次評価項目であった無増悪生存期間中央値は、標準療法のみ群が5.5カ月だったのに対して、トラスツズマブを加えた群は6.7カ月で、ハザード比0.71(95%信頼区間;0.59-0.85、p=0.0002)で統計学的に有意に延長していた。

 QLQ-30の結果、全身状態については標準療法のみ群、トラスツズマブを加えた群共にスコアが化学療法中及び化学療法後も同様に時間の経過と共に増加し改善した。運動などの機能についても両群ともに同様に増加し、改善していた。症状のスコアも両群で同様の変化を示した。倦怠感、不眠症は順調に改善し、食欲不振、吐き気/嘔吐、便秘は最初の25週間で程度の改善が起き、低値で安定した。一般的に症状のスコアは化学療法中は副作用の発現プロファイルと一致した。

 QLQ-STO22の結果、嚥下障害、痛み(胃または食事時)、流動性症状は両群で同様に時間の経過に伴って改善していった。疼痛の変化、鎮痛剤の投与も両群で差はなかった。