米臨床腫瘍学会ASCO)は1月11日、個人が将来癌を発症するリスクがどの程度かを調べる、癌易罹患性遺伝子検査やゲノム検査に関する最新の勧告を発表した。詳細はClinical oncology誌2010年1月11日号に報告された。

 これは、2003年に公表された勧告以降7年間の遺伝子検査領域の進歩と変化に対応したものだ。今回は、臨床利益が明らかではない検査や消費者に直接提供される検査(DTC)に関する情報も含まれている。

 遺伝子検査は、病気に対するリスクや疾病関連遺伝子のキャリアかどうかを知るため、また病気の診断や発症後の経過を予測するために用いられている。既に、乳癌、卵巣癌、大腸癌を含む様々な病気を対象とする、900を超える検査が利用可能になっている。

 現在のところ、全ての癌の5%から10%は遺伝性または遺伝的な易罹患性が関係すると考えられている。ASCOは、患者の安全と臨床的な有用性という原点に立ち戻って、検査を受けようと考える患者、検査を実施する医師、また、DTCの結果に関して患者からの質問を受ける医師のために勧告を作成した。

 そこには、癌治療における遺伝子検査の役割を判断するにあたって重要なのは、専門家が検査を仲介するかどうか、検査自体に臨床的な有用性があるかどうかである、と書かれている。

 現在のところ、癌の易罹患性を評価する検査のほとんどが、これらの条件を満たしている。しかし、DTCが登場し、さらには臨床利益が示されていない検査も提供されるようになったことから、医療従事者、患者、遺伝情報を利用する一般の人々に対して、癌関連の遺伝子検査に関する新たな勧告が必要だとASCOは考えた。

 今回ASCOは、医療従事者は下記の条件を満たす場合にこうした検査を提供すべきだと述べている。

 ・ 患者本人または家族に癌の易罹患性を示す医療歴がある
 ・ 検査について適切な説明が行われる
 ・ 検査結果の臨床的有用性が認められている

 ただし、ゲノム・プロファイリングのような最新の技術は、易罹患性を示す医療歴がない患者にも利益をもたらす可能性があることをASCOは認めている。

 また、DTCについては、消費者が直接利用できても、結果の解釈と、その後どう対応すべきかについて医療従事者の手助けを求める患者が存在する可能性があるとし、ASCOは、あらゆる遺伝子検査を受けた患者に対して、既知の癌危険因子、行動要因、環境要因、信頼性の高い癌リスク検査の結果などに基づくフォローアップ・ケアを受けるよう、医療従事者から勧めることを強く求めた。

 また、ASCOは、全ての遺伝子検査について、検査前と検査後のカウンセリングを行うべきであるという姿勢を再確認し、DTC検査を提供している会社については、こうしたカウンセリングを自ら提供するか、カウンセリングが可能な第三者を紹介するよう勧告している。

 一方、臨床利益が証明されていない、ゲノム・リスク評価などの検査については、臨床試験の中でのみ適用されるべきで、質の高い臨床試験で有用性が証明される必要があると述べている。

 ASCOは今後、癌の遺伝学領域の基礎研究、トランスレーショナル研究、学際的な研究に対する資金提供を増やすという。さらに、米食品医薬品局(FDA)とメディケア・メディケード・サービス・センターに、遺伝子検査に対する監視の強化を求めている。具体策のひとつとして、DTCを含む遺伝子検査のレジストリ構築を支援するという。遺伝子検査レジストリは一般にも公開される予定だ。