腫瘍細胞を含むリンパ液が最初に流れ込むセンチネルリンパ節の生検を行い、センチネルリンパ節に転移がなければ、その流域リンパ節には転移がないと判断し、広範囲なリンパ節郭清をせずに縮小手術を行うという手法は、乳癌や悪性黒色腫に対し広く行われている。この手法を胃癌に応用した多施設共同研究の最新結果を、慶応義塾大学一般・消化器外科の北川雄光氏が、1月22日から24日まで米オーランドで開催された2010 Gastrointestinal Cancers SymposiumASCO GI)で発表した。

 共同研究は、慶應義塾大学、東京医科大学など、日本センチネルリンパ節ナビゲーション外科研究会の参加12施設で行われた。対象は、センチネルリンパ節生検を行った397人(男性264人、女性133人、平均年齢63歳)。このうち、387人でセンチネルリンパ節が同定できた(97.5%)。センチネルリンパ節の同定は、内視鏡的に病変周囲の粘膜下もしくは漿膜下に色素を注入する方法と、放射性同位元素(99mテクネチウムスズコロイド)を注入し、γプローブで探索する方法を併用した。

 同定したセンチネルリンパ節の数は1人当たり平均5.5個、感度(陽性率)は93.0%、偽陰性率は7.0%、精度(正診率)は99.0%だった。生検に伴う有害事象は、腹腔内膿瘍が5人(1.3%)、小腸通過障害が4人(1.0%)、一時的な動脈血酸素分圧の低下が3人(0.8%)などと軽微だった。

 北川氏は、偽陰性となった7.0%(4人)を検討した結果、病変の大きさを4cm以内とすることでさらに見落としを減らせると判断、「4cm以内の早期胃癌では、手術中にまずセンチネルリンパ節生検を行い、転移があれば腹腔鏡手術でD2郭清を行い、転移がなければ機能温存手術を行う手法が勧められる」とした。