タモキシフェンによるホルモン療法を受けた早期乳癌患者について、再発リスクと化学療法から得られるベネフィットを21種類の遺伝子から予測する遺伝子検査「Oncotype DX」は、術後補助療法を決定するうえで医師と患者に大きな影響を与えることが分かった。米Loyola大学Health System MedicalのShelly S. Lo氏らによる試験の結果が、1月11日のJournal of Clinical Oncologyのオンライン版に掲載された。

 Oncotype DXは米Genomic Health社が開発した検査で、切除した乳癌組織を検体として21種類の遺伝子の発現量を測定し、再発スコアを計算する。再発スコアは0〜100で表し、値の高低で再発リスクの高さを予測する。スコアが低い女性に化学療法は推奨されない。

 2004年に米国でOncotype DXが商業化されてから、この検査を受けた乳癌患者は12万人を超える。検査の対象となるのはエストロゲン受容体陽性でリンパ節転移がない早期乳癌患者だ。毎年約10万人が、このタイプの乳癌と診断されている。

 今回の試験の対象はOncotype DXを受けた89人の乳癌患者。Loyola大学など4施設の医師17人が治療を担当した。

 医師らは28人の患者(31.5%)について治療の決定を変更した。このうち20人(22.5%)の患者の検査実施前の推奨治療は化学療法とホルモン療法の併用だったが、検査後にはホルモン療法単独に変更した。さらに患者24人(27%)が治療に対する決定を変え、うち9人は化学療法とホルモン療法の併用から化学療法をはずすことを希望した。

 「今回の結果から、この遺伝子検査が医師と患者による治療の決定に同時に影響を与えることが初めて示された」とLo氏は話した。

 医師らは、この検査により患者68人(76%)において推奨した治療への信頼度が高まったと話した。一方、検査結果を受け取った患者は、自分たちが治療について決定したことへの葛藤と、自分たちが置かれた状況への不安が顕著に減少したと報告した。

 検査費用は日本円で約36万円かかるが、研究者らはこの検査により化学療法の支出を回避できる患者を選別でき、全体の費用削減につながる可能性があると説明している。