米South Texas Accelerated Research TherapeuticsSTART) Center for Cancer Careは1月5日、MK-2206( Merck社製)とAZD6244(ARRY-886、AstraZeneca社製)という2つの新薬候補を併用する新たな癌治療レジメンのフェーズ1試験において、最初の患者を登録したと発表した。

 両社は2009年6月初めに、固形癌を対象にこれら2剤を併用するフェーズ1の実施を決め、得られる結果を元に共同開発をさらに進めるかどうかを判断すると発表していた。フェーズ1試験の費用は、両社が折半することになっている。

 この規模の製薬会社が、臨床開発の初期段階にある治療薬をそれぞれ提供してフェーズ1試験を共同で行うといった試みはこれまでなかった。通常、2社がそれぞれ保有する新薬候補同士を併用する試験が行われるのは、両剤の臨床開発がいずれも後期にある場合か、一方が市販許可を得た後だ。
 
 近年、癌治療戦略の進歩により、癌細胞の特定の経路を標的とする次世代型薬剤の設計が可能になった。が、癌細胞の適応能力は思いのほか高く、特定の薬剤に対する耐性獲得が報告されている。そこで、癌細胞の増殖や生存に関わる複数の経路を同時に抑える治療に期待が集まるようになった。

 フェーズ1に用いられる2つの薬剤の作用機序は以下の通り。

 AZD6244は、癌細胞の増殖と生存に重要な役割を果たすMEK経路に作用する。現在、これを単剤で様々な癌の患者に用いるフェーズ2試験が複数行われており、これまでに得られたデータはAZD6244の臨床活性を示している。

 MK-2206は、癌細胞の生存を促進するAKT経路に作用する。進行した固形癌の患者を対象とするフェーズ1では好結果が得られている。

 MEK経路とAKT経路はしばしば、腫瘍において異常に活性化されており、前臨床研究ではこれら2剤の相乗作用が示されている。