米Johns Hopkins大学の乳房イメージングの専門家Wandie A. Berg氏は、乳癌リスクが高い女性を対象とする大規模な臨床試験を行い、年1回のマンモグラフィー・スクリーニングに超音波検査を併用すると乳癌検出率が上昇し、さらにMRI検査も実施すると早期乳癌をより多く発見できることを明らかにした。詳細は北米放射線学会(RSNA)で2009年12月2日、報告された。

 Berg氏らは、乳房組織の濃度が高いためにスクリーニング法としてマンモグラフィーは最適ではないと考えられた女性が乳癌ハイリスク者だった場合に、年1回の超音波検査は有益であることを示す強力なエビデンスを初めて提示した。加えて、MRIの早期乳癌検出感度が高いことも確認した。一方で、超音波検査もMRIも、偽陽性率を上昇させる危険性を持つことが明らかになった。

 様々な要因から乳癌リスクが高いと判断された女性は、若いうちからスクリーニングを受ける必要がある。しかし50歳未満の女性では乳房濃度が高いことが多く、そうした女性ではマンモグラフィーを用いたスクリーニングの有効性は一般集団に比べ低下する。

 米がん協会(ACS)は、乳癌リスクの高い女性については、30歳を過ぎたら毎年マンモグラフィーを用いたスクリーニングを受けるとともに、MRIによるスクリーニングも受けるべきだと述べている。しかし、該当する女性のすべてがMRI検査を受けられるわけではない。MRIは非常に高価な検査だからだ。

 Berg氏によると、乳癌遺伝子BRCA1またはBRCA2の変異を有する、またはそれらのキャリアと考えられる女性や、乳癌リスクが非常に高いと見なされる女性であっても、MRIによるスクリーニングを勧められる患者は全体の約2%にとどまっているという

 MRI検査の実施が検討されるレベルではないが、乳癌リスクが上昇しており乳房濃度が高い女性や、乳房濃度が非常に高くマンモグラフィーでは乳癌検出は難しいと見なされる女性には、超音波検査の併用が望ましいと考えられる。 

 今回Berg氏は、実際に超音波検査を併用すると乳癌の検出率が高まることを示した。

 この研究は、米国放射線学会イメージング・ネットワーク(ACRIN)のプロトコール6666試験に参加した14施設で行われた。乳癌リスクが高い612人(平均年齢55歳)の女性を登録し、ベースラインと12カ月後、24カ月後にマンモグラフィーと超音波検査を用いたスクリーニングを実施。24カ月時には造影MRI検査も行った。

 612人中16人に乳癌が見つかった。12人が侵襲性の癌で、4人がDCIS(非浸潤性乳管癌)と診断された。

 試験期間中にマンモグラフィーにより検出された乳癌は全体の約半数にとどまり、超音波検査を追加すると検出率は70%以上になった。MRI検査の追加は、これら2つの方法では 全く検出されなかった乳がんの早期発見を可能にした。

 一方、超音波検査またはMRIを追加すると、偽陽性が有意に増えることも明らかになった。偽陽性率上昇は不必要な生検の増加につながる。

 得られた結果は、乳癌ハイリスク女性については、検査を追加した場合の利益とリスクについて本人と十分に話し合った上で、超音波検査またはMRIを実施するかどうか判断すべきであることを示した。