経口マルチキナーゼ阻害剤linifanib(ABT-869)の進行固形癌を対象にした国内フェーズ1試験の結果が明らかとなった。日本人は投与量0.25mg/kg以下であれば十分に投与に耐えられ、登録患者の多くで安定状態(SD)以上の効果を示すという結果が得られた。11月15日から19日まで米国ボストンで開催されたAACR-NCI-EORTC国際会議“MOLECULAR TARGETS and CANCER THERAPEUTICS”で国立がんセンター中央病院呼吸器内科の田村友秀氏が発表した。

 linifanibは、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子受容体ファミリーのチロシンキナーゼを阻害する薬剤。海外で行われたフェーズ2試験で肝細胞癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌に有効であったことが報告されている。

 フェーズ1試験は、4段階の用量に分けて行われた。2009年8月までに0.05mg/kg群には3人、0.10mg/kg群には6人、0.20mg/kg群には3人、0.25mg/kg群には6人の計18人を登録。毎日1回21日間を1サイクルとして空腹時に経口で投与された。18人のうち8人が非小細胞肺癌で、5人が肉腫、3人が乳癌だった。

 抗腫瘍効果は18人中16人が評価可能で、2人が部分奏効(PR)、1人が不確定PR(unconfirmed PR)、11人がSDとなった。PRとなった2人は、0.20mg/kg群の乳癌患者(1サイクル目で32%の縮小、6サイクル目で34%の縮小)と0.25mg/kg群の非小細胞肺癌患者(2サイクル目で32%の縮小、4サイクル目で41%の縮小)だった。

 15人の患者全員でグレード2以上の副作用が発現した。高血圧が15人、好中球減少症が6人、血小板減少症が4人、手足症候群が5人だった。

 用量制限毒性は2人の患者でみられた。1人は0.10mg/kg群の患者で、グレード3のALT上昇があり、もう1人は0.25mg/kg群の患者で、心電図のT波反転がみられた(薬剤との関連はないと考えられている)。8人の患者が副作用のために投薬の中断を余儀なくされ、1人の患者では減量が行われた。

 今後はグローバルのフェーズ3試験に参加することになるという。